まず初めに
るな子。です
私は文字だけの夢小説となりますので
ご了承ください。
それではお楽しみください。
朝七時十二分。
この時間の電車に乗ると、必ず同じ景色を見る。
ドアが閉まる音、座席に座る人の動き、窓に映る自分の顔。
そして――少し離れた席に座る、名前も知らない男子高校生。
透明感のある黒い髪が、朝の光をやわらかく受けている。
彼はいつも、私のほうを見ない。
窓の外だけを見つめて、何を考えているのかわからない横顔をしている。
それなのに、私は毎朝、彼を探してしまう。
制服のリボンを整えるふりをして、
スマホを見ているふりをして、
視線だけで、彼がいるかどうかを確かめる。
――今日も、いた。
それだけで胸の奥が、少しだけあたたかくなる自分が嫌だった。
名前も、声も、何も知らない人なのに。
この電車に乗っている数十分だけ、
私の世界は、彼を中心に静かに回り始める。
まだ知らなかった。
この時間が、永遠じゃないことも。
この恋が、最初から終わりに向かっていることも。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!