第20話

証拠
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2025/07/18 11:18 更新
壁に貼られた資料、映し出される複数のデータ、監視カメラのフレーム。
その中心で、4人の影が静かに交差する。
恭平
恭平
……黒野の口座、やっぱ動いてたわ
画面を前に、恭平が苦い顔をして報告する。
大吾
大吾
金の出所、追えたか?
大吾が腕を組んだまま問い返す。
恭平
恭平
んー…財前名義の資産とは直接つながらん。ただ、ペーパーカンパニーを複数経由して…最終的に“ヤツ”の関連企業に流れてる。つまり、資金洗浄ルートがほぼ確定ってわけ
和也
和也
……やっぱり、黒野は財前の金を流すための“駒”だったんやな
和也が静かに息を吐いた。
丈一郎
丈一郎
黒野の身辺、どうする?
丈一郎が初めて声を上げる。
探るように和也の顔を見る。
和也
和也
危険はある。ただ、今は泳がせよう
和也の声は冷静で、迷いがなかった。
和也
和也
ここで動けば、財前が気づく。黒野を通して掴める“更に奥”がある
丈一郎
丈一郎
なるほどね……
丈一郎は少し微笑んだ。
“マネージャー”とは思えぬ判断力に、改めて和也の本性を感じていた。
恭平
恭平
……!これ。見て
法人登録にも現れない影……“Z”ってファイル名
恭平が不意に口を開く。
暗く照らされた空間には、モニターに映し出された数々の資料と、緊張を帯びた空気が流れていた。
和也
和也
……Z
恭平が指をすべらせ、タブレット上に浮かぶ画像をズームする。
恭平
恭平
これが……“Z”が使ってたサーバーのアクセスログ。何重も隠されてたけど、財前の旧会社と一致するドメインを見つけた
和也は腕を組み、モニターに映し出された資料を睨む。
和也
和也
つまり……Zの正体は、財前で間違いないってことか
大吾が息を呑むように言った。
大吾
大吾
……あいつ、俺たちの動きにも気づいてる可能性がある。今までの監視、偶然じゃない
丈一郎も初めて見せる鋭い目で、言葉を重ねる。
丈一郎
丈一郎
僕が宵灯を出た後、財前は川島を通して、僕を牽制してきた。ずっと裏で仕掛けてたんだ
和也の眼差しが揺れる。
和也
和也
……丈、おまえが狙われたのは、ただの警告じゃなかった。Z──いや、財前は、おまえ自身を”鍵”にして、もっと大きな計画を進めてた
恭平
恭平
金の流れ、裏口取引、洗浄ルート、全部丈一郎の過去にリンクしてる。黒野グループを使った資金洗浄も、その一部だったんだ
丈一郎
丈一郎
……全部、知ってたんだな。母の名前も、僕の正体も、利用価値も──
大吾が静かに言った。
大吾
大吾
もう、逃げられへん。……今度は、こっちから仕掛ける番や
和也は深く頷いた。
和也
和也
財前の正体を暴いて、すべて終わらせる。丈、おまえは……俺たちと一緒に、進んでくれるか?
一瞬の沈黙。

丈一郎は、目を逸らさずにまっすぐ和也を見て、小さく微笑んだ。
丈一郎
丈一郎
……もう逃げない。俺も、このチームの一員だろ?
──4人が、静かに視線を交わす。
その瞳に宿るのは、覚悟と信頼。

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