なにあれ……
心臓がドクンドクンと激しく脈打ってる。
紫耀……
なんで……あんなことしてきたの?
意味分かんない…
じわりと浮かんでくる涙を堪えながら
手の甲で何度もゴシゴシと唇をこすった。
初めて紫耀の事を、怖いと思った。
知らない男の人みたいだった。
あんなの、紫耀、じゃ…ない……
………………紫耀のバカ
……………………………
……………………
……………
翌日の学校では紫耀となるべく顔を
合わせないようにして過ごした。
一晩あけたら、怖かったこと、
悲しかったことよりも、フツフツと
怒りが沸き上がってきて
紫耀に殴りかかりそうになる自分を
押さえるのに必死だった。
いつも通り教室で友達とふざけ合ってる
紫耀に尖った視線を向ける。
あんなことして
絶対に許さないんだからっ!
紫耀を睨み付けていたら、美桜ちゃんが
心配そうに私の顔を覗き込んできたので
慌てて笑顔をつくった。
今カラオケに行ったら、ものすごく
暗い歌ばっかり選んじゃいそうだなぁ…
ぼんやりと答えて前を向くと
パッと紫耀と目があった。
でも 、直ぐに目をそらされた。
……はぁ。
なんで私が無視されなきゃいけないんだろ…
放課後になっても、やっぱり
遊びに行く気分にはなれなくて
帰り際、美桜ちゃんに謝った。
それを聞くと美桜ちゃんは眉を下げた
美桜ちゃんと話していると、視界の隅に
友達と帰っていく紫耀の姿が移った。
これまで当たり前のように一緒に過ごしていた
紫耀とこんなに長い間離れているのは
初めての事だった。
家に帰ると、ソファの上で膝を抱えて
座りながらため息をついた
紫耀は今頃、Aちゃんと一緒にいるんだろうな
紫耀の為に夕飯を作る必要はもうないんだ…
楽になったはずなのに
気持ちはおちこんだまま。
自分の為だけに夕飯を作る気にはなれない…
こんなことなら、美桜ちゃんと一緒に
遊びに行けば良かったかな…
お腹が空いたから冷蔵庫に入っていたものを
適当につまんだけど、パサパサとしていて
なんの味もしなかった。
一人の夜がこんなに淋しいもの
だなんて知らなかった。
一人でみるテレビって
なんだかつまらない……














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!