第41話

雪の冷たさに熱を奪われて
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2025/12/21 11:00 更新
もわもわと湯気が立つ湯宿で、孌はゆっくりと夜の雪景色を見上げた
六花が、熱気に当てられて溶けてゆく

翠孌
背中流しましょうか?
桜影
だいじょーぶ

すっかり湯船に浸かった孌は、居心地の良さと背後に潜む夜の影への抵抗感で身動ぎを繰り返す
なんだか、落ち着かない

雷雲 巫人
、、、煙雨えんうさん、でしたっけ?
桜影
うん、そうだよ
翠孌
確実に忍びだね
桜影
やっぱり?足音とかしなかったしね
翠孌
それだけじゃなかった、懐に忍び道具入ってる姿勢してた
桜影
え?
雷雲 巫人
忍びって常に懐とかに忍び道具しまっとるんやけど、そのせいで重心が腹にいくんよ
雷雲 巫人
だから、少し前傾姿勢になる
桜影
煙雨さんが、そうだと?
翠孌
確信は無いけど、有り得るよ

流石、孌の護衛である
名を馳せた櫻宮の臣従達である、何がなんでも孌を脅威から守るという固い意志が感じられる

そんな二人を微笑ましく思う









コンッコンッ
男性
お客様方、湯加減は如何でしょうか?

脱衣場の方から男の声がする

雷雲 巫人
、、、鷲脅しゅうきさん、ですか?
鷲脅
えぇ、えぇ、そうですよ

煙雨の夫である鷲脅だ
家に免れた際に紹介された、腰が低く物腰柔らかい男という第一印象だった

翠孌
湯加減は丁度良いですよ、鷲脅さん
鷲脅
そうですか、、、皆様お上がりしましたらお知らせください
翠孌
えぇ、分かりました









気配が無くなる

桜影
、、、鷲脅さん、行った?
翠孌
、、、なんか怖いんだけど、えっ、本当に居ないよね?
雷雲 巫人
、、、俺、あの人苦手やわぁ

忍びの妻なら、忍びの夫
あの優しそうな瞳の奥に、何か鋭利な刃物の破片が埋め込まれているようで身が震える

桜影
、、、物、盗まれてないよね?
雷雲 巫人
恩人にこんな事思いたくないけど、、、なんか怖いな
翠孌
早めに上がる?

敵の塒にのこのこと入り込んできた三人は

















まだ、味方の存在に気付いていない

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