任務で起こった事だった。
私達は『 ChroNoiR 』の情報を集める為、
潜入調査をしていた。
刀也に指示された私は、
指示役の言葉を信じて
一人で二階を見に行った。
今思えば、おかしい事だらけだった。
流石ChroNoiR。
そう思いながらがっかりしていると、
突然下の階から銃声が聞こえた。
刀也達がいる場所だった。
警備員に見つかったのか。
そう思い、急いで階段を下る。
そして、自慢の足で走った。
目に入った光景は、自分を疑いたくなるような
そんな光景だった。
目を疑った。
刀也以外の仲間は血を流して倒れ、
刀也が返り血のようなものを浴びている。
仲間に触れてみると、まだ生暖かかったが…
多分、手遅れだった。
見間違いではないかと、
何度も目を擦った。
偽物ではないかと、周りを見渡した。
夢であれと、頬を殴った。
信じたくなかったが、
目の前にいるのは、
悲しい顔で笑う刀也だった。
刀也が私に向かって銃を構える。
こうするしか、って何?
私を置いて行っちゃうの?
あの笑顔はどこに行っちゃったの?
そんな事を何度も何度も考えた。
先程とはまるで別人のような、
そんな冷たい表情と声で
私に指示した。
言い聞かせるように名前を呼んだ。
『 もうダメなんだよ 』と言うように、
目を逸らした。
本当は、刀也と一緒に帰りたい。
私だけなんて嫌だ。
だが、ここで逃げないと自分が死ぬ。
そう思い、私は走り出した。
ふりかえらなかった。
振り返ったら、立ち止まってしまうから。
私は、相棒に裏切られた。













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!