『あ"ぁー…だる』
マネージャーさんの車でおっさんみたいな声を出しながら呟く
車内にはまだ俺一人だから弱音吐き放題
いぇーい
「風邪ですか?」
『ん、多分…』
「…これ、渡しときます」
赤信号になった途端、鞄をゴソゴソ漁ったかと思うと頭痛薬って書いてある箱を渡してくれたマネージャーさん
『え、いいの?』
「はい、偏頭痛用で申し訳ないです」
『ありがと!』
ひとつ頷き前に向き直ったマネージャーに合掌して、家から持ってきたマイボトルで錠剤を飲み込む
このままレッスン場に着くまで寝てればそのうち熱も下がるだろ
って、目を閉じて意識を手放そうとした瞬間
「おはようございます」
車のドアがガラッと開いて、目黒が入ってきた
『あ、めめだ〜』
具合悪いって悟られないように空元気で振る舞まってみるも
頭が働いてないからか、いつもの俺がどんなテンションかよく分かんない
目黒「ふはっ、なんか今日テンション高めだね」
なんて笑いながら俺の隣に腰かける目黒は、少し眠たそうな顔をしてる
『目黒、最近寝てる?』
目黒「寝てるよ」
目黒「それよりあなたは寝てる?」
自分だって寝不足なはずなのに、上手く話題を逸らす目黒に変な汗が出る
目黒「珍しくマスクしてるし、顔赤い気がするんだけど」
って言いながら人差し指でツンって俺の頬を突っつく目黒
…めっちゃバレてるし
『…気のせいでしょ笑』
目黒「ふーん」
目黒の洞察力が凄いのか、俺の嘘が下手なのか
それともどっちもなのかは分からないけど、これ以上喋ってたら自分から墓穴を掘りそうなので
大人しく目を閉じて、ガンガンと重い痛みが続く頭が目覚めた頃に少しでも楽になってればいいな
なんて思いながら、薄れゆく意識を手放した
♡×100













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!