現No.2。ウィングヒーロー『ホークス』
本名『鷹見 啓悟』は、その頭を働かせていた
長い黒髪を靡かせながら、廊下の角を曲がっていったその姿は、たった一瞬の出来事であったが、ホークスには酷く印象に残っていた
それは雄英高校ヒーロー科1年B組の生徒で、現在内通者と疑われ逃走中であった『重複あなた』の容姿と酷似していたためであった
この話は公安にも届いていたので、そこ直属のヒーローであるホークスは聞いたことがあった
だがホークスは、先程の人物が重複である確証が持てていなかった。なので探ることにした
結論を言うと、ホークスが見たあの人物は、重複ではないかもしれないということだ
ホークスが聞き回っても、誰もがそんな人物のことを見たこともないし、聞いたこともないと言う
もしかしたら幹部クラスが何かの目的で隠しているのかと、トゥワイスなどにも探りを入れたが、有力な情報は何も得られなかった
幻覚や錯覚の類いとは思えないほど、はっきりと印象に残っているのに、何の痕跡も残さずに消え去った長い黒髪の人
ホークスは、まるで狐に抓まれたような気分であった
一方、一瞬姿を見られてしまった重複は、既にアジトを抜け出して逃走していた
ホークスに見られたということは、自然と内通者であると疑われ、雄英にまで連絡がいってしまい、取り返しのつかないことになってしまうと考えたからだ
ホークスは確証を持とうと、周りから情報を得ようと動くと考え、重複は先手を打った
幹部クラスの人間しか知らないため、ギガントマキアとの戦闘の際に得た『貸し』を使って、自分の情報を郊外することを禁じさせたのだ
ぎゅっと、ハート型のネックレスを握りしめた
このネックレスは、以前大切な人から貰った唯一無二のものだと、トガヒミコとの会話で言っていた
トガ曰く、その時の重複の表情が、まるで恋をしているようだったのに、悲しそうだったという
それほどまでに大切なものなのに、悲しそうな顔を見せたのは何故だろうか
それは彼女しか…いや、彼女とその相手しか知らない
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!