ダッ
気づいたら無意識に駆け出していた
困惑した声は。右から左に流れて
俺の耳に止まる事は無い
「逃げちゃダメでしょ…?」
「かわいいあなた君…♡」
こわい。こわい。こわい。こわい。こわい。
フラッシュバックする記憶から
逃げるように自室へ走る
ガクッ
膝から崩れ落ちる。
足が震えて言うことをきいてくれない
はぁッはぁっ
かなり走ったはずなのに
座り込んで間もなく駆けつけてくる
息を切らしながら寄り添ってくるのは
「モニターで見た双葉の子」
フォーク、ふぉーくだ
逃げないと
にげないと、
「もしかして、ケーキ…?」
さするように背中に回していた手は
逃がさないとでも言うかのようにおれの腕を力強く握りしめている
俺の腕を掴んでいる手は
少し震えている
「立てるか…?」
「うん、ありがと」
嘘みたいだ。細い廊下に響くのは
ケーキの俺とフォークの名前も知らない彼の声だった
案外、フォークも悪い奴ばかりじゃ…
。
『また』
そう言って俺と世一はわかれた、
また、か
少し口角が上がる
棚の上に置いてあるハンカチを手に執り
意味も無くひかりに当てる
「次、会った時返せよ」
次、また、
また、また
合いたいな
アンケート
セーブしますか
はい
73%
いいえ
27%
投票数: 1379票
アンケート
このハンカチ、どうする?
言いつけを守って絵心さんに頼んで渡してもらう
40%
言いつけを破ってこっそり渡しに行く
60%
投票数: 3006票













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!