お盆の時期
鬼殺隊の隊士は任務が一段落すると
それぞれの想いを胸に大切な場所へと向かう
隊士のあなたは任務が一段落して怪我の治療に専念している
もうほぼ治ってきているので私もお墓参りに行こうと思い
準備をして歩き出す
幸いなことに泊まっていた宿からお墓までそう遠くはない
偶然なのだろうか、お館様のご配慮だろうか
宿を出ようとしたところで見知った顔と出会った
あなた
「善逸!!」
善逸
「あなたちゃん!!?」
顔を見るや否や泣きついてきた
どうやら一人で任務をこなしてきたらしい
どうにかなだめて、これからお墓参りに行ってくると言うと
善逸
「この時間から!!?…あなたちゃん待って!」
とっさに腕を掴まれた
善逸
「こんな時間に一人で出歩くなんて危ないって!俺もついて行くよ!」
…え?
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川の水面には月がゆらゆらと移されており
世界を優しく照らしている
村が近いからか道は舗装されており柵まで付いている
あなた
「善逸、なんでついてきたの?ただのお墓参りだしそんなに遅くはならないよ。私一人でも大丈夫だったのに」
あなたがそう言うと、善逸はムッとしたように唇を尖らせる
善逸
「だってさ…いくら鬼殺隊の隊士とはいえ、こんな時間に女の子一人で行かせられないよ」
その言葉に胸が鳴る
彼は普段臆病で泣き虫だ
でも時折見せる優しい強さに
胸が締め付けられるような想いを抱いてきた
でも、善逸は誰にでも優しいし
女の人達には特に甘い言葉を並べる
私の事なんて、ただの仲間としか思っていないだろうな
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墓地に着いた
夏草が青々と茂り
遠くで蝉の声が響いている
墓石の表面には苔が薄く張り付いていた
あなたは持ってきた水と布でお墓を丁寧に拭き始める
全部は少し離れた場所で静かに立って見ていた
いつも大騒ぎしてる彼もお墓の厳かな雰囲気に飲まれたのか
静かにあなたの様子を見守っている
あなた
「善逸、荷物からお線香取ってくれる?」
彼は小さく頷きお線香を取り出してそっと渡してくれた
善逸の指先がほんの一瞬あなたと触れる
暖かくて
ほのかに震えているような感触に胸がまた騒ぐ
慌てて目を逸らし墓前に線香を立てる
煙が細く立ち上り夜の空に溶けていく
過去の記憶が蘇る
大切な人の笑顔、一緒に過ごした時間
それが奪われた時の記憶
胸が締め付けられる
私なんて、生まれなければ良かった______
そう強く思った夜が何度あっただろうか
気づけば目から涙が零れていた
慌てて袖で拭おうとした時
善逸の声が耳に届く
善逸
「あなたちゃん……大丈夫?なんか、泣いてるみたいだけど……」
善逸の声はいつもより低く、優しい
私はハッとして顔を上げる
善逸はいつの間にか隣にいた
涙が止まらない
大切な人に心配をかけてしまった
でも、とても
とても嬉しかった
善逸
「おおおおお俺なんか変なこと言ったかな!!?ごめん!!……俺こういう時なんて言えばいいのか分かんないけど…あなたがそんな顔してると俺、なんか胸が苦しくて……」
ああ
歯止めが効かない
泣きやみたいのに
善逸
「余計泣かせちゃった!!?え、と…なんか、その、俺に出来ることあったら言ってよ!あなたちゃんの為ならなんでもするから!」
泣き止んでほしくて必死だ
あなた
「ありがとう善逸……ちょっと昔のこと思い出してただけ。平気だから」
善逸は少しホッとしたような表情になった
あなた
「さて、立ってばっかりで疲れたよね!お墓参り終わったし、ちょっと休もうか」
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二人で川辺に腰を下ろした
川の水は透明で、底の小石が見えていた
夜とはいえ夏なので蒸し暑い
より一層夜風が汗ばんだ肌を冷やしてくれる
楽しい話がしたくて
最近の任務の話、炭治郎と伊之助のようす
楽しかったこと嬉しかったこと
沢山話した
善逸は身振り手振りで感情を表しながら話をしてくれた
話が面白くておもしろくて沢山笑った
話が一段落して善逸と二人で川の流れを見ていた
しばらくして彼がぽつりぽつりと話しだした
善逸
「あなたちゃんって俺の中でいつも強いイメージがあってさ、強い音がするんだ」
…善逸
善逸
「きっと沢山頑張ってきたんだと思う。でもきっと君だって泣きたい時があると思うんだ、その時は…俺の前で泣いて。そしたらそばにいられる」
泣きたい時は頼ってほしい
一緒にいさせて欲しい
貴方が大切なんだ______
善逸はハッとして
善逸
「あっそのえっと、違っ…くはないけどその、えっと……ごめん!!俺なんかが出しゃばって!!うわ恥ずかしいこと言っちゃった!!今のは忘れて!!」
彼の顔は真っ赤だ
両手で頭を抱える姿に笑みがこぼれる
夜がふけってきた
空が一段と暗く染まっていく
川に映る月がより一層輝く
あなたは立ち上がった
あなた
「よし、帰ろうか!これ以上暗くなると鬼が出るかもよ?」
とちょっと冗談交じりに言ってみた
善逸
「確かに結構長くいるもんな…ってそんな怖いこと言わないで!!ほんとに出ちゃうから!!」
彼は慌てて立ち上がるとあなたの背中の後ろに回る
あなたは笑いながら歩き出した
善逸はすぐ後ろからついてくる
その足音がとても心地よい
彼がこうやってそばに居てくれるなら
私はそれだけで、幸せな気がする
夏はまだまだ終わらない











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。