約1時間半。見たことの無い御屋敷に連れてこられた私は着ている服を強制的に脱がされドレスを召され、メイクとヘアメイクをしてもらっていた。
とはいえ、なんかめちゃくちゃ赤いリップは塗るわ焦げたような臭いが漂っているのにコテで何回も髪巻くわ声をあげた回数が多分過去の記録を上回った気がする。
おめでとう自分。
なんてくだらないことを考えていたらメイドさんから鏡を貰った。
完成したあとのお楽しみと鏡は見ることが出来なかったので少し楽しみではある。
少し心配なところはあるけれど。
高鳴る胸と早く見たいという衝動から、キラキラと高級感のある手鏡を反転させる。
思わずそんな声が漏れた。
目元はピンク色のアイシャドウが煌びやかに光り、絶対似合わない真っ赤な口紅もすごく綺麗というか、溶け合っている。
髪もストレートの髪がふわふわしていて、そう、かわいい。
しかもドレス…。
少しふんわりした提灯袖にデコルテまでのラッセルレース生地になった純白のドレス。
腰には金色の金具がついた細長い黒色のベルトがあしらわれている。
本当に自分じゃないみたいで、それでもやっぱり自分で。
久しぶりに可愛い私を体験出来て頬が緩む。
先輩、褒めてくれるかな、なんて思っていると
東雲先輩だ。
私の名前を呼ぶその先輩の甘い声がもっと私を幸せな気持ちにさせる。
そう言いながら振り向く。
くるりと回ると一緒にワンピースが揺れて心がくすぐったい。
自然とあがる口角で先輩を見つめると口を少し空けた東雲先輩。
初めて見た先輩の表情だ。
所謂、唖然とした表情でもかっこいいなんてずるい。
目を細めて笑った先輩に顔が赤くなるのが分かる。
先輩も髪をセットしてる。
いつもは下ろしている前髪を分けているから新鮮で、それでいてやはりかっこいい。
そう言って私の手を引いた先輩とともに、扉へと向かった。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!