第60話

46話
504
2024/08/26 04:15 更新
ぼんじゅうる
ぼんじゅうる
____今から、裁判を始めます
おらふくん
おらふくん
ぼんさ……むぐっ
見知った、何も関係がないと思っていた彼が、どうしてここに。
名前を呼びかけると、自分の意思とは反対に口が勝手に閉じる。
唸ってみても意志を移した声は出ない。
おらふくん
おらふくん
ん゙…!
ただひたすらにくぐもった音しか出てこず、喉に触れて違和感を声に出そうと踏ん張る。

踏ん張るも、何も変わらない。
隣で転がされ、苦しげにするおんりーもまだ目覚めてない。
手出しができないのか、机につく白、黒、ドズルさん、Menも不安げにしている。
特にドズルさんは顔面蒼白になり、見たことがない顔をしていた。


取り敢えず今は声が出ない口だ。
暫く悶えていると、上…佇むぼんさんの横にいつの間にか立っていた人影が、笑いを含んだ声でこちらに語り掛ける。









ペンギン
ペンギン
静粛に、だよ。おらふくん





おらふくん
おらふくん
…っんん!



あぁ、この感じ。
纏っているオーラがぼんさん裁判官と一緒だ。髪には紫紺の色も含まれている。


つまり、ぼんさんの仲間だということが証明されて。だからぼんさんが敵なのだとしたら、ペンギンも敵であると。

それは、友人との別離を示す声音だった。
ぼんじゅうる
ぼんじゅうる
ペンギン、解いてあげな
ペンギン
ペンギン
了解です

おらふくん
おらふくん
っぷあ…っ
ぼんさんが声をかけて、ペンギンが手をかざした瞬間、僕の口が開いた。

声が出る。思うように出せる。
だから、叫ぼうとして。
おらふくん
おらふくん
ぼん…
ドズル
ドズル
ぼんさんっ!
僕の言葉に被せた大きな声が響き渡った。
声は優しさを隠し、ただ焦燥を帯びている。

ドズルさんだ。驚いた顔をするMenの横から、壇上のぼんさんに向かって声を張り上げている。

ドズル
ドズル
ここに呼び出したってことは…僕やおんりー、死神のことも分かってるってことですよね!?…っな、何で隠してたんですか…
ぼんじゅうる
ぼんじゅうる
俺は裁判官。口答えするの?
ドズル
ドズル
違う!そもそも、何を捌くんですか。ここに呼び出して、ぼんさんは…
ドズル
ドズル
………いや、『お前』は。何をする気だ
怒っている、ように見えた。
何に対して?

そもそもこの2人に関係があったことさえあまり知らなかった。ぼんさんとペンギンは生徒会長と副生徒会長だけれど、特にドズルさんとの関係は持っていないはず。

もしかしたら、どこかで仲良くなっていたのかもしれない。
そうだとすると、ドズルさんは何に怒っているのか。




友達になってくれたぼんさんが普通の人ではなかったこと?
『裁判官』という謎の立場をずっと隠されていたこと?
ペンギンが裏切ったこと?
自分をここに呼び出したこと?


一人顎に手を当てて考え込む。
と、ぼんさんがまたも木槌を振り上げた。
乾いた音が一つ、二つと鳴り響く。
ぼんじゅうる
ぼんじゅうる
俺は裁判官。そして、元は天使
ぼんじゅうる
ぼんじゅうる
邪悪な心を持った天使は堕とされる。貴方も分かっているでしょ?
そう笑うぼんさんの頭上には、ただ黒い輪が浮かんでいる。

つまり、彼は天使であり天使ではない。
死神にもならない、中途半端な存在。








ぼんじゅうる
ぼんじゅうる
俺が捌くのは死神だよ。『感情を持った死神』を、俺は憎むから。……おんりーちゃんは断罪中
視線がちら、と苦しむおんりーに向く。
眉を顰め、夢でも見ているのかここに呼び出された時から目覚めていないため、会話ができていない。

情報の処理でパンクしている僕。
信じられないと叫びそうなドズルさん。
冷徹な表情をしているMen。
暇そうに足を揺らす黒。
黒を咎め、真剣な表情で裁判を見る白。
ぼんさんの後ろに傅くペンギン。

全員を一瞥しながら、ぼんさんは高みで言い放つ。







ぼんじゅうる
ぼんじゅうる
ここでそこの消えかけた死神を無罪にして。じゃないと消滅するよ






おらふくん
おらふくん
………………………え?
おらふくん
おらふくん
む、無罪って、何……




ぼんじゅうる
ぼんじゅうる
決まってるじゃん。『死神は感情で命を狩る人間を選ぶのか』だよ。



微笑むぼんさんは、何故か____どこか苦しげな顔をしていた。

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