遊木𝒔𝒊𝒅𝒆〜
──────気のせいだと思ってた。でも...
Tricksterの練習を見に来た、3年のあなた先輩。
練習室から出ていった、僕はその人の後ろ姿を見つめた。
子供の頃に、キッズモデルで共演したあの子。
撮影現場でずっと隣にいたあの子。
『あなたのアイドル時代の名前(ローマ字で)』として、アイドルになったあの子。
いつからか、全く会えなくなったあの子。
女の子が苦手な僕が、
唯一話せるあの子に凄く似ている。
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撮影で失敗をして
俯いていた僕に、優しく声をかけてくれたあの子。
アイドルをやめようと思った時も、この言葉に励まされた。
あの言葉があったから、今の僕がいる。
あの子と先輩の姿が、ピッタリと重なった。
でも、あんな地味な人が、輝かしい『あなたのアイドル時代の名前(ローマ字で)』ちゃん?
そう言いかけて、声が詰まった。
その先の言葉を言ってはいけない気がしたから。
あなた先輩は"思い出さないで"って辛そうな顔をしていた。
────あの人を見ていると、凄く胸が苦しくなる。
僕は、あの先輩を放ってはおけない気がする。
目が離せないんだ。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。