咆哮とともに呪霊が突進してくる。
あなたは踏み込み、刀を閃かせる。
肩口を切り裂き、後退する間もなく身を翻す。
巨腕がすぐさま迫るが地を蹴って空中をへと逃れた。
背後に釘崎の釘が飛ぶ。
あなたの斬撃に合わせ、呪霊の関節へと釘が突き刺さる。
硬直の隙にあなたは着地と同時に斬り上げ、呪霊の顎を切り裂いた。
無言のまま動き続けるあなた。
その肩の動き、足の踏み込みが釘崎への合図だった。
呪霊の膨れ上がった左腕が降りぬかれる。
あなたは刀で受け流し、すかさず脇腹へ突きを入れた。
表面は硬い。だが貫いた刃先から呪力が浸透していく。
釘崎はそれを見逃さない。藁人形を掲げ、釘を撃ち込む。
衝撃が呪霊の内側から走る。呻き声。
だが二級のしぶとさは凄まじい。
今度は背から黒い触手のような呪力を伸ばし、あなたを押し潰そうとする。
しかしそんなことでは及ばぬあなたは身を沈め、回転しながら斬り払った。
触手が宙に舞い、地面に落ちる。
切り裂かれた瞬間、釘崎の鋭い鉄槌が重なった。
呪霊が再び硬直し、絶好の隙が生まれる。
あなたは走る。
疾風のように駆け、刀を逆手に握り直し、腹部へ深く突き立てた。
呪霊の体内に走る震動。
幼い日の記憶がよぎる。
声をかけられることもなく、家族の笑顔に混ざることもなかった。
約十年分の沈黙が、刃を握る腕に重なっていた。
釘崎の声が轟く。
爆ぜる呪力。
内部から引き裂かれた呪霊の悲鳴が、廃墟を震わせた。
あなたは刃を振り抜き、最後の抵抗を断ち切る。
瘴気が弾け、呪霊は崩れ落ちた。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!