そんな安っぽい理由なんかじゃないけど、と
思いながらいう
少し前までキラキラとした目でこちらを見ていた
杉下の、困ったような、迷ったような顔
恐怖を含んだ目で様子を伺うように俺を見る楡井
傷付くなぁと空を見上げて言葉をこぼす弟切
もっと足をぱたぱたして空を見上げた、太陽は眩しい
だから、何も聞きたくない
そう続ければ、椿はまた昔みたいに押し黙った
黙る椿を見て少し考えてから梅宮がニカっと笑った
一瞬、呼吸を忘れそうになった
飲み込んでいた言葉が溢れるようにポツリと呟いた
声は、掠れていた
“また”
“一緒に”
そんなこと出来ない、出来るわけがない
俺の背後にはとても暗い影が潜んでいると言うのに
それに“あのとき”全てを決めたのだから
もう後戻りは出来ないとわかっているのだから
精一杯の笑顔を作って言う
じっとこちらを見る桜の瞳が恐いと思った




















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。