よいしょ、と女は椅子から立ち上がる。
机に置かれた煙草からは、まだゆらゆらと煙が立ち上っていた。
そして、私を見下ろし、ゆっくり愛おしそうに頬を撫でた。
ふふふと笑う。
なぜか、不気味なものを感じた。
女はルークより少し背が高いくらい。
先程の女性がペコリと頭を下げてきた。
彼女は何を言ってるのかわからない、という様にこちらを見た。
彼女はふー、と深い溜め息をついた。
女性は、ミレイは私の頭を撫でた。
懐かしむような目。目尻には少し皺がよっていた。
目を閉じ、思い出に浸っていた。
私は知らなかった。
この部屋で唯一、私の存在を喜ばない者がいたことに












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!