第4話

第三訓 ゴリラ&背中&覚悟のストーカー
25
2026/03/01 03:12 更新






 朝の屯所。






「お妙さぁぁぁん!!」


 全力疾走で門を飛び出そうとするのは――
 近藤勲。


 即座に後ろから止められる


「近藤さん、朝礼でさぁ」


 冷酷ボイス、
 沖田総悟。



「ぐはぁっ!」



 お妙さんに殴られ地面に転がるゴリラ。



 縁側でせんべいをかじる永倉。



「今日も元気だなぁ、野生ゴリラ」



「誰が野生ゴリラだ!」



「野生の求愛行動してたじゃないですか」



「純愛だ!!」



「ストーカーですよ局長」



「違う!!」



 永倉、真顔。



「昨日、志村家の前で木に擬態してましたよね」



「バレてた!?なんで知ってるの?!」



---




 その日の夕方。





 市中巡回中。



「永倉ァァァ」



 しょんぼり顔の近藤。



「どうしましたゴリ――局長」



「今ゴリって言いかけたな?」



「言ってないです。喉が鳴いただけ」



「鳴き声!?」



 永倉は笑いを堪える。



「局長、なんでそんなにお妙さんに全力なんです」



「好きだからだ!!」



 即答。



 真っ直ぐな目。



「命懸けてもいい」



 永倉の瞳が少しだけ揺れる。



「……命は懸けなくていいですよ」



「何?」



「好きなら、生きてなきゃ意味ない」



 近藤は少し黙る。



「お前らしいな」





---

 





そのとき爆発音。



 攘夷浪士が商家を襲撃。



 永倉が走る。



「局長、正面任せます!」




「任された!」



 敵が一斉に押し寄せる。




 近藤が豪快に斬り伏せる。



「うおおおお!」



「ゴリラ突進!」



「だからゴリラ言うな!」



 永倉が横から滑り込み、一閃。



 速い。



 奇襲の間合い。



「局長、左!」



「おう!」



 背中が自然に合う。



 重い一撃を受け止めた近藤の前に、永倉が立つ。



 短時間で制圧完了。



 怪我なし。





---






 静まった路地。



 近藤が刀を納める。



「永倉」



「はい」



「俺はな」



 真剣な顔。



「全員守りたい」



「知ってます」



「だが限界はある」



 少しだけ悔しそうに笑う。



「だから頼る」



 永倉は目を見開く。



「お前に背中を預ける」



 間。



「……ゴリラの背中、毛深いですけどね」



「そろそろ泣いちゃうぞ?!」



「冗談です」



 永倉は真面目な顔になる。



「俺は横に立ちます」



「横?」



「局長が前に出るなら、俺は横。


 倒れる前に支えてやりますよ」



 近藤は豪快に笑った。



「頼もしいな、永倉!」





---





 屯所へ戻ると総悟が壁にもたれている。



「ゴリラと藤、いい連携でしたぜ」



「総悟ォォ!!」



「事実です」



 永倉が肩をすくめる。



「局長はゴリラだけど」



「まだ言うか!?」



「強いゴリラです」



「褒められてるのか分からん!」



 笑い声が屯所に響く。



 夕焼けの中、永倉は小さく呟く。



「全員帰る。それが真選組ですね」



 隣で近藤が頷く。





「それが俺たちだ!!」














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