朝の屯所。
「お妙さぁぁぁん!!」
全力疾走で門を飛び出そうとするのは――
近藤勲。
即座に後ろから止められる
「近藤さん、朝礼でさぁ」
冷酷ボイス、
沖田総悟。
「ぐはぁっ!」
お妙さんに殴られ地面に転がるゴリラ。
縁側でせんべいをかじる永倉。
「今日も元気だなぁ、野生ゴリラ」
「誰が野生ゴリラだ!」
「野生の求愛行動してたじゃないですか」
「純愛だ!!」
「ストーカーですよ局長」
「違う!!」
永倉、真顔。
「昨日、志村家の前で木に擬態してましたよね」
「バレてた!?なんで知ってるの?!」
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その日の夕方。
市中巡回中。
「永倉ァァァ」
しょんぼり顔の近藤。
「どうしましたゴリ――局長」
「今ゴリって言いかけたな?」
「言ってないです。喉が鳴いただけ」
「鳴き声!?」
永倉は笑いを堪える。
「局長、なんでそんなにお妙さんに全力なんです」
「好きだからだ!!」
即答。
真っ直ぐな目。
「命懸けてもいい」
永倉の瞳が少しだけ揺れる。
「……命は懸けなくていいですよ」
「何?」
「好きなら、生きてなきゃ意味ない」
近藤は少し黙る。
「お前らしいな」
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そのとき爆発音。
攘夷浪士が商家を襲撃。
永倉が走る。
「局長、正面任せます!」
「任された!」
敵が一斉に押し寄せる。
近藤が豪快に斬り伏せる。
「うおおおお!」
「ゴリラ突進!」
「だからゴリラ言うな!」
永倉が横から滑り込み、一閃。
速い。
奇襲の間合い。
「局長、左!」
「おう!」
背中が自然に合う。
重い一撃を受け止めた近藤の前に、永倉が立つ。
短時間で制圧完了。
怪我なし。
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静まった路地。
近藤が刀を納める。
「永倉」
「はい」
「俺はな」
真剣な顔。
「全員守りたい」
「知ってます」
「だが限界はある」
少しだけ悔しそうに笑う。
「だから頼る」
永倉は目を見開く。
「お前に背中を預ける」
間。
「……ゴリラの背中、毛深いですけどね」
「そろそろ泣いちゃうぞ?!」
「冗談です」
永倉は真面目な顔になる。
「俺は横に立ちます」
「横?」
「局長が前に出るなら、俺は横。
倒れる前に支えてやりますよ」
近藤は豪快に笑った。
「頼もしいな、永倉!」
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屯所へ戻ると総悟が壁にもたれている。
「ゴリラと藤、いい連携でしたぜ」
「総悟ォォ!!」
「事実です」
永倉が肩をすくめる。
「局長はゴリラだけど」
「まだ言うか!?」
「強いゴリラです」
「褒められてるのか分からん!」
笑い声が屯所に響く。
夕焼けの中、永倉は小さく呟く。
「全員帰る。それが真選組ですね」
隣で近藤が頷く。
「それが俺たちだ!!」












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。