目覚めた直後、急な彼の顔面ドアップに驚き反射的に顔を上げる。
瞬間、私のデコが彼の顎にぶつかってお互い悶絶してしまった。
ズキズキと痛むおでこを擦りながら、彼にどうかしたのかと聞くが別に用はないらしい。
ないんかいとツッコミたくなったがそれを抑えて時計を見た。
冷うどんは簡単だから結構好きなんだよね、寝起きだから体だるかったしめっちゃ助かる。
スマホで冷うどんを検索し、台所へ向かった。
三十分後、出来上がったものを皿に移しラップをして冷蔵庫に入れる。
後は彼がお腹を空かせるまで待つだけ。
正直私もお腹すいてなかったし。
スマホで片手間ではなく、ちゃんと目を見て返事を返してくれた事に少し嬉しくなり彼の頭を撫でてお風呂に入った。
頭を洗いリンスをした後、体すりで体を洗っている途中、太ももの付け根にほんのり赤く少し紫色が混じった小さなアザが見える。
これ、まだ残ってたんだ。
早く消えて欲しいのになかなか消えない、彼に付けられた未だに薄く残るキスマーク。
擦っても消えない、この痣はまるであいつから私への過度な執着の表れのような気がして軽い吐き気を催した。
最初から、この業界に入ったのがいけなかったのか...それとも、あの兄弟と出会った時点で.....。
でも、それくらい...未だに思い出すと辛くなって、もう一度あなたに逢いたくてどうしようもなくなるくらい...ずっとずっと、凛のことが大好きなんだよ……。
今更許してなんて言わないから、もう一度だけ...あなたに会いたい。
少しお風呂に長居してしまい少し悔やんだ。頭をタオルドライしながら、リビングへ向かうと凪くんがうどんを食べかけで気絶するように眠っていた。
この子は昼寝してないみたいだからね、今日は濃い一日だったから疲れたのかな。
可愛らしく寝息をたてる彼を起こさないよう静かに毛布をかける。
明日はもっとしんどくなるかもしれないから、今のうちにリラックスさせておこう。
私もちょっと、夜風に当たってこようかな。
散歩ついでにコンビニで買ってこよう。
隣に置いていたカバンから財布を取りだし、スマホを持って静かに家を出た。
まだ少し濡れた髪を夜風が靡かせる。
乾かすのが面倒だったからついでで髪の毛乾いて欲しいなーなんて考えながら歩いていると……。
振り向くと、少し先に蜂楽君がいて挨拶をすると嬉しそうにこちらへ走ってきた。
犬みたいで可愛い...。
なんて考えながら隣に並んで歩く蜂楽君にどうしてこんな時間に外にいるのか聞く。
そう言うと彼は可愛らしい童顔を私に向けてくる。
弟にしたら絶対毎日癒される、私の実の弟は冷たいからな〜。
癒しもなんも無い。
『お世辞が上手だね、君は』と、口元に手を添えて笑うと横を歩いていた彼の顔から少し笑顔が消えたような気がした。
直後、ゆっくりと進めていた彼が歩を止めて私を見る。
反射的に私も立ちどまり、彼の顔を見返した。
その顔は、先程までとは違い…少しだけ大人の色気を含んでいるように見える。
AVの時とは少し違う顔つきだった。
む、長くなっちまった
今日は私が晩御飯担当他だったから煮物作ったよー!
ちょっと味が濃くなっちゃった
料理で2時間もかかっちゃった...😭
いつもなら一時間半か一時間で終われるのに...
エビチリ以来だ!!
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。