第14話

行方不明の天の使い 下(逆夢編)
41
2024/02/11 11:00
天使クロック
天使クロック
ここは…どこだ…?
局長
局長
目が覚めたのか
アサギ
アサギ
よかっ…た…
局長
局長
わかったから無理に喋らなくてもいいぞ
アサギ
アサギ
喋らせて…ください…
局長
局長
局長
局長
いいぞ
天使クロック
天使クロック
あのときのことは…本当に忘れられない…
局長
局長
あのときのこと?
天使クロック
天使クロック
ああ。こいつに村を守ってもらったんだ
アサギ
アサギ
あの時頑張ってたのは、かえもんでしたけどね
天使クロック
天使クロック
こいつがいなければ、あの赤いのだけではどうにもならなかったと思う
アサギ
アサギ
そ、そうですか…
局長
局長
照れてるのか?
素直じゃないんだから〜
アサギ
アサギ
そ、そうですか?
天使クロック
天使クロック
兎にも角にも、ここから抜け出せなくてはな
アサギ
アサギ
なにか方法は考えているのか?
天使クロック
天使クロック
いや…それが、全くだ
アサギ
アサギ
ええ…
天使クロック
天使クロック
だが全く考えていないわけではない
局長
局長
どっちだ!
天使クロック
天使クロック
信じる力が一番強いってことを私は経験から知っている
局長
局長
信じる力…
アサギ
アサギ
そういえば、時を操れるんだったな。今その能力を使えるか?
天使クロック
天使クロック
えいっ!
アサギ
アサギ
どうなんだ?
天使クロック
天使クロック
…えいっ!
アサギ
アサギ
(掛け声それなのか)
それで、どうだ?
天使クロック
天使クロック
いや、これが全くだ
局長
局長
何らかの要因によって能力が封じられている…?
アサギ
アサギ
どうやら、そのようですね
天使クロック
天使クロック
何らかの要因?
そういえば…
局長
局長
そ、そんな!
アサギ
アサギ
あいつら、俺達を逃さないためにそんなに酷いことを…
魔姫
魔姫
誰が酷いですって?
アサギ
アサギ
噂をすれば影…
魔姫
魔姫
どんどん反抗的になっていくわね、この四人は
執事A
執事A
反抗的?
お前が理不尽なことするからだろ!
魔姫
魔姫
もういい。言い訳は聞きたくないわ
執事B
執事B
言い訳なんかじゃない!
魔姫
魔姫
どんなに反抗したって、あたくしの力には誰も敵わないわ!
魔姫がアサギに近づく
魔姫
魔姫
それは、あなたが一番知っていることでしょう?
アサギ
アサギ
そんなことは…な…い…
局長
局長
(…このままじゃアサギが危ないな)
アサギ
アサギ
ゲホッ…!
魔姫
魔姫
ほら、そうでしょう?
魔姫
魔姫
ここでどれだけあがいても
魔姫
魔姫
この鉄の鳥かごからは
魔姫
魔姫
誰も逃げ出せない!
局長
局長
アサギ、大丈夫か?
アサギ
アサギ
秘書
秘書
よし、これから作戦を実行する!
かえもん
かえもん
キッチンから拾ってきたよ!
秘書
秘書
ありがとう、これで火をつけられる!
緑の人
緑の人
それは…ライター?
キャプテン・スカル
キャプテン・スカル
そうだな。ここまで細工が施されたものは珍しい。我がもらっておきたいくらいだ
秘書
秘書
それはだめでしょ。
でも、これを見る限り、この館はかなり裕福みたいね
緑の人
緑の人
これが買ったものだとしたらね
かえもん
かえもん
それって、どういう意味?
緑の人
緑の人
これはここに迷い込んだ者から奪ったのかもしれないってことだ
秘書
秘書
まあでも、とりあえず火をつけなきゃね
かえもん
かえもん
よし、床の絨毯に火をつければ良いんだよね?
カチッ
かえもん
かえもん
火が、つかない…?
秘書
秘書
そんな!みんなで頑張って考えた作戦なのに!
緑の人
緑の人
ちょって見せて
秘書
秘書
はいっ
緑の人
緑の人
こ、これは…
秘書
秘書
ん?どうしたの?
緑の人
緑の人
これは、オイル切れを起こしている!
かえもん
かえもん
じゃあ、これがキッチンの床においてあった理由って…
緑の人
緑の人
オイル切れを起こしているから、捨てるつもりだったんだろうな
キャプテン・スカル
キャプテン・スカル
じゃあこれは我がもらっていいか?
秘書
秘書
ん…まあ良いよ。どうせ使い物にならないだろうけど
かえもん
かえもん
っと…
秘書
秘書
ん?いつの間にキッチンに行ってきたの?
かえもん
かえもん
いや…そんなに離れてないから走って行ってきたよ
秘書
秘書
いやいや、かなり離れてるんだけど。あなたの脚力どうなっているの?
かえもん
かえもん
まあカエルだからね。それで、マッチがあったから取ってきたよ
秘書
秘書
ありがとう。マッチなら付けられるかもしれない
シュッ
かえもん
かえもん
ついた!
秘書
秘書
綺麗…
緑の人
緑の人
この火が、四人を助けるかもしれないってことだな
秘書が絨毯に火を付ける
秘書
秘書
燃えたー!
じゃあみんなここから離れて!
みんなが離れる
かえもん
かえもん
それじゃあ牢屋の方に火が行くように、周りに水を撒いて炎を誘導するんだったよね
秘書
秘書
そうだよ!火を消さないように気を付けてね!
それからみんなで水を撒いて…
かえもん
かえもん
ふう!なんとか牢屋の前まで来れたよ!
秘書
秘書
でも、扉が閉まってるせいで空気が届かなくなって火が消えたら…
かえもん
かえもん
僕に任せて!
秘書
秘書
?
ドンッ!ドンッ!ドンッ!
秘書
秘書
す…すごい…
緑の人
緑の人
扉を蹴って…
キャプテン・スカル
キャプテン・スカル
空気が行くようにするのか。
こいつにしては考えたな
かえもん
かえもん
「こいつにしては」は余計だよ!
秘書
秘書
あ、扉が開いた!
緑の人
緑の人
よし、助けられる!
魔姫
魔姫
ん?なんだか、焦げ臭い臭いがするわね…
局長
局長
そうだな
アサギ
アサギ
ゴホッ
局長
局長
アサギ、大丈夫か?
どこかが火事になってるんだ
アサギ
アサギ
どこかが…火事…
局長
局長
そうだ。口と鼻を袖で覆うんだ
アサギ
アサギ
はい…
魔姫
魔姫
火事?どこが火事になってるの?
執事A
執事A
お…おい!
あそこを見ろ!
執事B
執事B
扉のところが、火事に?
魔姫
魔姫
そんな!火の消し忘れとかしたわけじゃないのに…
局長
局長
そうか…やたら臭いが強いと思ったら、近くで火事が起こっていたんだ!
執事A
執事A
よし、逃げるぞ!
魔姫
魔姫
えっ!?「逃げる」ですって!?
魔姫
魔姫
あたくしはあんた達を絶対に逃さない!
局長
局長
アサギ、立てるか?
アサギ
アサギ
局長
局長
おい、アサギ!
アサギ
アサギ
扉の方は煙が充満しています!ここからは逃げられない…
執事A
執事A
そ!そんな!
局長
局長
おい、ここに穴があるぞ!
執事A
執事A
穴?なんでこんな所に?
執事B
執事B
分からんが焼けたときにできたんだろう
局長
局長
よし、ここから逃げるぞ!
魔姫
魔姫
待って!待って…!
壁が焼け落ちて穴を塞ぐ
局長
局長
よし、ここからお前は逃げ出せない!
一人で悲しく焼き鳥にでもなってるんだな!
アサギ
アサギ
局長…そんなに煽ったら…
局長
局長
大丈夫だ!ここまでして当然の報いだな!
執事A
執事A
よし、外に逃げ出せたぞ!
執事B
執事B
空気って、こんなに美味かったんだな…
魔姫
魔姫
待って、待って…!
局長
局長
なにか言ってるが無視しよう。あいつにどうにかなるもんじゃないからな
魔姫
魔姫
あたくしはあんたたちを絶対に逃さない…
局長
局長
引っ張られてる!?
アサギ
アサギ
そんな…ここまで俺達は逃げてこれたのに…
魔姫
魔姫
一緒に燃え尽きて!

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