ハナマルside
あれからもう3日が過ぎた
俺は未だに心が嫉妬でドロドロとしていた
でも、それよりも頭に浮かぶのはテディちゃんのあの言葉だった
・・・俺も、がんばんないとな
あの日テディちゃんが言っていた言葉
それはめちゃくちゃちゃんとしてて感心して、それと同時に嫉妬丸出しでラトにキレてた自分が大人げなくてだらしなく思えた
もうちょい感情を表に出さないように・・・
そう、ポーカーフェイスだ、ポーカーフェイス
・・・うん、大丈夫・・・多分、余裕
主様の側にはラムリとアモンがいた
それだけなら別になんとも思わない
他の執事といるだけでもやもやしてたらキリがない
てか、ほんとラムリとアモンって仲良いな
違う階の執事が仲良いとか珍しいわけでもないけど、おの二人はなんかマブダチ?みたいな・・・
・・・いや、何どうでも良いこと考えてんだ俺は
バレたら死ぬかも、なんて思いつつユーハンの説教にはもう慣れた俺はあまり焦りはせずぼんやりとしていた
それにどちらかというと、あいつらの様子が気になるし
もうちょい見ても良い、よな
その瞬間
主様の手が、アモンの白い髪の上にポンと乗って、わしゃわしゃと撫で回していた
アモンは顔を真っ赤にして目を見開いて驚いている
これはまずい
またいつも通りだ
やっぱり俺に嫉妬は抑えられない
テディちゃんみたいな綺麗な考え方はできない
でも、せめて、せめて表に出さず抑えなければ、主様を縛るようなことはしたくないから
気持ちを落ち着かせるためこの場を離れようとしたのも束の間
ラムリが主様に抱きついていた
どんどん心の中で嫉妬の気持ちが大きくなる
・・・ラムリはもともと甘えん坊なんだからあれぐらい普通だろ
驚いた主様の体がアモンの方へ倒れこむ
アモンが主様の体を支えて、二人とも主様との距離が近くなっていて
主様が体のバランスを保つためにアモンの腕を掴む
その時
アモンの顔付きが変わり、まるで覚悟を決めたような、まだ頬が赤いままの顔で主様を見つめて
支えていた手を、まるで抱き締めるように主様の腰に回して、ラムリから引き離そうとして
見上げた主様の顔とアモンの顔の、まるで今すぐにキスができそうな距離を見た瞬間
俺の中の何かが、糸が切れたような感覚がして
いつの間にか体が動いていた
キョトンとした顔で俺を見る三人に、今更ながらやってしまったと思った
でも、心は軽かった
主様は驚く二人を置いて俺の腕を引っ張りながら駆け出した
俺も驚いてたけど、何より主様が俺の腕を掴んで距離が近いことに胸が高鳴っていた
さっきまでのアモン達との距離は二人によるものだったけど、今は主様から俺に触れてくれている
それがただただ嬉しくてニヤける顔が抑えられなかった
あぁ…まじで大人げねぇ
何が平常心だよ
ちょろすぎるでしょ俺
あ、やべ
油断してたら顔見られてた
たまに扱い雑だったり冷たかったりでユーハンと被るとこあるけど、めげるどころかこれは主様なりの愛情表現だのなんだの言ってまぁポジティブにやってる
次回:執事の苦労(ベリアン編)
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。