辰哉 side
ちゃちゃちゃ!!!
ちょーーーーーーっと待って???
俺、初めて聞いたんだけど?
彼女、あなたちゃんとは付き合い始めて、確かにまだ1ヶ月と少しとかだけど…。
でも、誕生日知らないとか…そんなことある?
クスクスと笑った彼女はじゃあね、なんて言って踵を返して駅へ向かおうとする。
いやいや!
ちょーーーっと待ってって!!
このまま帰らせるわけねーっしょ!?
うーーん…としばらく考えた後に、何かを思いついたのか、イタズラな目をこちらに向けてきた。
あの目は……何かとんでもない無茶振りをされるって、俺の本能が叫んでる。
俺がそういうの、苦手ってわかってるはずなのに、あなたちゃんもよく言うよね…
でも俺はこの笑みに弱い。
って言っちまったとはいえ、どーすんのさ。
舘さんみたいに花をプレゼントするキャラでもねぇし、美味いもん食いに行こっか?じゃ、いつもと変わんねーだろ…。
舘さん特有のニヤリとした笑みを浮かべながら隣に座ると、俺の肩にポンっと手を置いた。
ほぉんと、なんでこの人にはわかっちゃうかなぁ…。
てか、この笑顔、誰かに似てんだよなぁ…
顎に手を当てて何かを真剣に考えているように見える舘さんだけど、多分頭の中にはバラの花束でいっぱいなんだろうな…。
いたずらに笑う舘さんに昨日のあなたがちょっとだけ重なって、なんか怒るに怒れなくなって、なんだこれ。
憎めないけどちょっと腹が立ったから、何かいい案ない?って聞いたらWebページを見せてくれた。
『女性が喜ぶプレゼント』
だったら、と言って見せてくれたのは帽子のブランドのサイトでキャップからニット帽までシンプルなデザインから可愛いもの、かっこいいものまでさまざまに取り揃えられていた。
ん??
よくかぶってるイメージ…。
俺、彼女の話ここでしたっけ?
少なくとも舘さんにはしてない気が…。
そう言って舘さんの携帯に映っていたのは俺の彼女と、舘さんのツーショット…、似てるって思ってたのは単なる偶然じゃなくてそういうこと??
信じらんねえけど見れば見るほどにうわ兄妹じゃんってなるし、何よりあなたちゃんもたぶん面白そうだから黙ってたってことだよね??
余裕な顔して微笑む舘さんに、少しでもぎゃふんと言わせたくて、あと一週間後に迫った彼女の誕生日プレゼントを、本気で選ぼうと決意した。
雪華の誕生日まであと一週間ということで勝手にバースデーカウントダウンします!(笑)
短編集を一日ずつ更新していこうという無謀かつ、需要が自分にしかないことをやろうとしています。
雪華のわがままにお付き合いいただければなーと思います(笑)
ふっかさんと一緒に住みたい人はこれ見てちょ!
割と面白い作品になってる…はず。
ぜひ読んでもらえると嬉しいです!
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!