ちぐさ視点
広間には重い沈黙が流れていた。
騎士が二人。
どちらも「あっとを護衛した」と主張している。
本物は一人。
もう一人は偽物。
誰も決め手を持っていなかった。
そんな空気の中。
あっとが静かに口を開く。
全員の視線が集まる。
一度頷く
そして
突然名前を呼ばれ、思わず声が漏れる。
広間が静まり返る。
数秒後。
あったらゆっくり頷く
胸の奥の緊張が少しだけほどけた。
少なくとも。
妖狐ではないことだけは証明された。
あっきぃが嬉しそうに笑う
地下監視室
LANは静かにモニターを見つめ、小さく微笑んだ。
広間
その一言で空気が引き締まる。
静かな声だった
誰も口を挟まない
あっとも静かに頷いた
広間の空気が少しずつ変わっていく。
さっきまで「人狼を追放する」ことばかり考えていた。
でも今は違う。
全員の視線が。
妖狐へ向き始めていた。
地下監視室
LANが静かに口を開く
まぜ太はまだ少し不思議そうな顔をしていた。
広間
誰にも気付かれないように息を吐く。
(まずい。)
村だけじゃない。
人狼まで妖狐探しを始めた。
占い師も生きている。
ここから先。
占われれば終わり。
それだけは避けなければならない。
二人の騎士は同じ言葉を口にする。
本物と偽物。
どちらが本当なのかは分からない。
それでも村は。
「占い師を守り続ける」
という方針でまとまり始めていた。
そして。
その様子を見ながら、いるまは静かに目を閉じる。
(これでいい。)
(村は妖狐探しに集中する。)
(その間に俺は……。)
誰もまだ気付いていない。
人狼が妖狐探しを手伝っているように見せながら。
その裏で、自分の勝ち筋も静かに探し続けていることを。
会議は、まだ終わらない――。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!