第20話

19話 白の証明
34
2026/07/28 13:25 更新
ちぐさ視点

広間には重い沈黙が流れていた。

騎士が二人。

どちらも「あっとを護衛した」と主張している。

本物は一人。

もう一人は偽物。

誰も決め手を持っていなかった。

そんな空気の中。

あっとが静かに口を開く。
虹赤
一つ言ってなかったことがある
全員の視線が集まる。
虹赤
会議の最初に、俺は『結果は白だった』とだけ言った
虹黄
あっ そういえば!
奏緑
誰を占ったかまでは言ってないね
虹赤
あぁ
一度頷く

そして
虹赤
占ったのは、ちぐだ
虹水
え?
突然名前を呼ばれ、思わず声が漏れる。
虹赤
結果は最初にも言ったが白だ
広間が静まり返る。

数秒後。
虹黄
ってことは妖狐じゃない!
奏赤
あ……
虹赤
その通り
あったらゆっくり頷く
虹赤
妖狐は占われた時点で脱落する

ちぐは今ここにいる

だから、ちぐは妖狐じゃない
虹水
……
胸の奥の緊張が少しだけほどけた。

少なくとも。

妖狐ではないことだけは証明された。
虹黄
よかったぁ!
あっきぃが嬉しそうに笑う
虹水
ありがとう
地下監視室
虹紫
ちぐ確定白だ!
奏水
これで疑われなくなるね!
虹緑
これは村にとってでかい情報やな
奏黄
妖狐候補が1人消えた
LANは静かにモニターを見つめ、小さく微笑んだ。



広間
奏紫
じゃあ俺も情報出す
その一言で空気が引き締まる。
奏紫
昨日、人狼が襲撃したのはあっとだ
虹黄
やっぱり
奏緑
……
奏紫
でも襲撃は失敗した
虹赤
それで?
奏紫
俺はもう疑われてる

だから隠す意味はない
静かな声だった
奏紫
俺を追放するのは構わない
虹水
……
奏紫
でも、その前に妖狐を見つけろ
誰も口を挟まない
奏紫
妖狐を残したまま人狼が全滅したら勝つのは妖狐だ
奏緑
それは……
虹赤
間違ってない
あっとも静かに頷いた
虹赤
だから俺はこれから妖狐だけを狙って占う
虹黄
そうだね!
虹水
まずは妖狐を見つけなきゃだからね!
広間の空気が少しずつ変わっていく。

さっきまで「人狼を追放する」ことばかり考えていた。

でも今は違う。

全員の視線が。

妖狐へ向き始めていた。



地下監視室
虹紫
いるまくん協力してる!
奏水
優しい…
奏黄
違う違う
虹緑
人狼らしい動きや
虹紫
え?
LANが静かに口を開く
奏桃
村は気づいてない
虹紫
何に?
奏桃
いるまは妖狐探しを手伝ってるように見せてその間に、自分が勝つための盤面も作ってる
奏黄
なるほど
虹緑
最後の人狼らしい立ち回りやな
まぜ太はまだ少し不思議そうな顔をしていた。



広間
虹桃
……
誰にも気付かれないように息を吐く。

(まずい。)

村だけじゃない。

人狼まで妖狐探しを始めた。

占い師も生きている。

ここから先。

占われれば終わり。

それだけは避けなければならない。
奏緑
俺はこれからもあっとくんを護衛します
奏赤
俺も護衛先は変えない
二人の騎士は同じ言葉を口にする。

本物と偽物。

どちらが本当なのかは分からない。

それでも村は。

「占い師を守り続ける」

という方針でまとまり始めていた。

そして。

その様子を見ながら、いるまは静かに目を閉じる。

(これでいい。)

(村は妖狐探しに集中する。)

(その間に俺は……。)

誰もまだ気付いていない。

人狼が妖狐探しを手伝っているように見せながら。

その裏で、自分の勝ち筋も静かに探し続けていることを。

会議は、まだ終わらない――。

プリ小説オーディオドラマ