そんなわけない。
この俺が人に恋心を抱くはずがない。
好きだなんて……
その可能性が無いと、沖田は言えなかった。
あなたを好きになる理由が多すぎたから。
あなたへの感情の変化に、薄々気づいていたから。
沖田は耳まで真っ赤にし、小さな声で思ってもいない
否定をした。
無論、このか弱い否定を神楽たちが信じるわけもない。
沖田は、神楽と新八にこんな顔を見られている羞恥心と
屈辱で、頭がいっぱいになった。
帰ってきた銀時が、玄関から声を張る。
しかし、沖田の耳にその声は届いていない。
恥ずかしさを隠そうと、怒鳴るように声を荒げて勢い
よく立ち上がる。
そして、沖田は部屋の戸をバンッと開けた。
強引に話を終わらせようとした時。
沖田にとって最悪な言葉が、沖田の声をさえぎった。
動揺しきった沖田は銀時の目を見る。
銀時は沖田が逃げ出そうとするのを防ぐ。
銀時はそう言ってニタリと笑う。いたずらっぽいなど
という言葉では表せない、もはや悪魔の笑みだ。
もしこれが新八か神楽なら、今頃間違いなく沖田の拳が
飛んでいたことだろう。
落ち着け。沖田はそう思いとどまる。
いくら銀時でも正直に話す必要はない。
危うくこの場の雰囲気に流されてしまうところだった。
隠せ。普段の自分を取り戻せ。
冷静に……
そんなことを考える頃には、沖田の頭の中に自然と
あなたの顔が浮かんでいた。
真剣な表情、笑顔、照れて赤くなった顔。
忘れられない、沖田の心臓が高鳴った数々の出来事。
気がつけば、沖田の顔はあなたといる時以上に、熱を
帯びていた。鼓動が耳にうるさく響き、ぼーっとして
いた沖田は正気を取り戻す。
冷静さの欠片もない今では、感情を少しも隠せない。
打って変わって冷たい目を向ける三人に、沖田は怒りを
感じる余裕もなかった。
その理由は、あなたへの恋心の自覚。
三人は、沖田の二度と見られないであろう一面に驚き
引いて。沖田は、自分のあなたへの感情に困惑して。
感情は違えど、四人は無言の中、しばらくの間立ち尽く
すことしかできなかった。















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。