……どうしてあなたが泣くんだよ…?
……そうやって昨日のことも
消してしまおうというのなら……
トコトコ…トコトコ…
あの後、気付けば「花束」を抱えて歩いていた。
階段を登り、「街」を見下ろした。
あのまま、あの理想のままいたかった。
理想を夢見てるときが一番幸せだったな。
…だから、「心」はいつまでも夢を見ていて。
……でも、
もういい。もう、何も感じない。
空っぽでいよう。
……そうしたらいつの日か、
さよならを告げられても涙が出なかった僕も、
あなたみたいに悲しんだり悩んだりすることが
…できるのかな。
空は曇っていて、何も見えなかった。
遠い未来のことを二人でたくさん描いた。
二人でたくさん語り合った。
…どれだけ夜が更けても。
でもすれ違って、
キリのない言い争いもしていたっけ。
あなたと二人で笑いあった日々は、
もうないんだから。
毎日、朝がやってきたら、あなたは溜息をつく。
…いつからそんな日々になっていたんだろう。
この街は、僕たちの未来を作っていく
「はず」の場所だった。
でも、あなたはもういない。
今ではもう、あなたの笑顔も、泣いてる顔も、
僕の記憶から薄れているんだ。
…あなたもきっと、僕のことを
少しずつ忘れていくんだよな。
「大好き」も「愛してる」も言葉に出すから、
忘れたいのに……またあなたを思い出してしまう。
それでいつか、
「どうしてあの時言えなかったんだろう」
って後悔したとしても、別に良いんだ。
…この「辛い、悲しい」っていう考えさえ、
全て失ったモノクロの僕が、
人間らしく色付くなら…、意味があるのだから。
あなたに恋してた。これは恋なんだって。
…でも、恋だと飾ってるだけだったんだな。
感情が…混ざりすぎて、もうぐちゃぐちゃだ。
でも逆に、感情同士が譲り合うと、何もなくて。
何もなくなる。
いや…これは、
結局何も変われない。
全部相手のせいにしてた。…あなたも、僕も。
…お互いのせいでこうなってしまったのに。
わかってる。届かないことなんて。
……でも、これで最後だから。
一言言えば変わっていたかもしれないのに、
何も言葉にできなかったのは…僕だ。
後悔を夜が更けるまで語ったところで、
もう聞く人は、いない。
…許し合うことに意味なんてないってことも、
全部わかってる。
「哂い」合って さよなら。
〈本家様〉













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。