第1章 秋の日
少し肌寒い秋の日…
俺は、雛がいる北海道へとやってきた。
(また怒られるんだろうな…笑)
次来る時は連絡してと言われていたが
連絡をせずにやってきたのだ。
(びっくりさせたいんだよな…)
そんな悪戯心を持ちながら大学前で雛を待つ。
遡ること、五月。
姉である夏樹と雛の兄、優との結婚式が行われた。
その帰り道、雛の大学の友人である人に彼氏と間違えられ、戸惑う雛は
「彼氏だよ!」
と、答えた。
俺が、「いいのか?」と聞くと
「虎太郎がいいの!」って雛は答えた。
しっかりとした告白は出来なかったものの、俺ららしいなと思い、雛と"幼なじみ"よりも近い関係が始まった。
夏には、雛が帰ってきて、少し遠出をして旅行に行ったりと夏を満喫した。
(これから先今まで以上の思い出が出来るといいな…)
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「はぁぁ、授業疲れたぁぁ、先生課題多すぎだよ~」
「ね、もうちょっと減らしてほしいよね…雛?あれ彼氏さんじゃない?」
「え?虎太郎?そんな訳ないよ、だって連絡するはずだもん」
そう言って雛は携帯電話を確認するが虎太郎からのメッセージは来ていなかった。
(まさか…)
「サプライズとかかもしれないよ~?」
「…」
「雛?」
「え、あぁ、ごめん、ぼーっとしてた…!」
「大丈夫?私こっちだから、行くね?」
「うん、じゃあね!」
(あの後ろ姿…やっぱりそうだ…)
雛は歩くスピードを速くし、校門の前に立っている虎太郎の近くへ行く。
──────────────────
(遅せぇな…もしかして今日授業ない日とかか…?やっぱ連絡するべきだったか…)
そんなことを考えている時だった…
「いってぇ!!誰だよっ!?」
いきなりほっぺをつねられた
「私だよ…!」
「あ、雛か…」
「なんでいつも連絡してこないの!?」
「いや、びっくりさせたくて…つい…」
「つい…って、びっくりしたじゃん!」
「ははっ!」
雛の戸惑う顔を見て無邪気に笑う虎太郎
…
「雛…!?」
虎太郎をぎゅっと抱きしめた
「会いたかった…寂しかった…」
「…」
雛が小声でそういうと
虎太郎はぎゅっと雛を抱きしめ返した
「久しぶり…雛…」
「うん…久しぶり、虎太郎…」
(俺も会いたかった…伝わってるかな…)
引き剥がせないぐらいの強さで雛を抱きしめる
「虎太郎…苦しいよ…笑」
「ごめん…もう少しだけ…このまま…」
_この温もりが消えませんように…_












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!