たとえば、夢見る時がある。
転入生がやってくる。
その子はなんでもできる、素敵な子。
クラスで1番、明るくて、優しくて、運動神経がよくて、しかも、頭もよくて、みんなその子と友達になりたがる。
だけどその子は、たくさんいるクラスメートの中に私がいることに気づいて、その顔にお日様みたいな眩しく、優しい微笑みをふわーっと浮かべる。
私に近づき、「こころちゃん、ひさしぶり!」と挨拶をする。
周りの子がみんな息を呑む中、
「前から知ってるの。ね?」と私に目配せをする。
みんなの知らないところで、私たちは、もう、友達。
私に特別なことがなくても、私が運動神経が特別よくなくても、頭がよくなくても、私に、みんなが羨ましがるような長所が、本当に、何もなくても。
ただ、みんなより先にその子と知り合う機会があって、既に仲良くなっていたという絆だけで、私はその子の一番仲良しに選んでもらえる。
トイレに行く時も、教室移動も、休み時間も。
だからもう、私は一人じゃない。
真田さんのグループが、その子とどれだけ仲良くしたがっても。
その子は、「私はこころちゃんといる」と、私の方を選んでくれる。
そんな奇跡が起きたらいいと、ずっと、願っている。
そんな奇跡が起きないことは知っている。
『かがみの孤城』
ポプラ文庫
辻村深月 様
2018年本屋大賞第1位に選ばれた作品
2022年に映画化された
少年少女たちが光る鏡の向こうで出会い、
互いに少しずつ歩み寄り自分の居場所を見つける物語
前に映画を見たことがあって、去年に小説版のかがみの孤城の下巻・上巻を購入しました。
原作では、かなりリアルで悲惨な学校生活を送った
『こころ』が主人公となっていますが
この作品では、貴方がこの物語の主人公となります。
流れは原作通りですが、内容はオリジナル要素強めですね。はい。
映画版只今ネトフリでみれるのでね!
是非!見てみてください!
この映画のエンディング曲を担当している優里様の
『メリーゴーランド』おすすめです!












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!