第16話

本当のこと
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2026/08/19 23:14 更新
翌日
病院の主治医に許可をもらい、あなたと俺は気分転換のため病院の屋上へ出ていた

澄んだ青空

優しく吹く風
嶺亜
嶺亜
今日は天気がいいね?
あなたは俺の隣に歩く
(なまえ)
あなた
うん、そうだね!
2人は屋上ベンチに並んで座った
しばらく景色を眺めていると、俺はリュックから二冊のスケッチブックを取り出した
嶺亜
嶺亜
あなたの下の名前
(なまえ)
あなた
ん?
嶺亜
嶺亜
久しぶりに絵を描こうよ?
あなたにペンを差し出す
それを見たあなたは戸惑う
(なまえ)
あなた
あっ、えっと……
戸惑う表情に俺が微笑む
嶺亜
嶺亜
今日はあなたの下の名前と一緒に描きたいんだ。
嶺亜
嶺亜
わがままなのはわかってる、
けど、またあなたの下の名前の絵みたい。
その言葉にあなたは何も言えなくなってしまった
そしてあなたは俺に差し出されたペンを受け取ろうとした
しかし
力がなく、カランと床にペンを落としてしまった
乾いた音だけが屋上に響く

あなたは慌てて拾おうとする

それでも手は思うように動かない

何度挑戦しても、握れない
俺は静かにその様子を見つめていた

そして、小さくつぶやく
嶺亜
嶺亜
やっぱり。
あなたの肩が震える

俺は落ちたペンを拾い、あなたの方を見た
嶺亜
嶺亜
俺になにか隠してることあるよね?
その言葉にあなたは顔を伏せる
俺はあなたの目の前に来てしゃがみ目を合わせ手を握った
嶺亜
嶺亜
1人で全部抱え込まないで
本当のこと、話してほしい。
長い沈黙

風だけが二人の間を吹き抜ける

やがて

あなたの目から、一粒の涙がこぼれ落ちた
(なまえ)
あなた
ごめんなさい……。
そしてあなたは事情を話した
先生から余命宣告を受けてしまったということ
延命のために治療を続けてるということ
そして……
もう二度と絵が描けないということ
それを聞いた俺は頭が真っ白になった
嶺亜
嶺亜
そう、だったんだ。
けど、あなたの悲しむ姿をみた俺は1度冷静になる
嶺亜
嶺亜
いつから?言われてたの?
(なまえ)
あなた
数ヶ月前、
嶺亜くんに最初に絵を一緒に描こうって言われる前から。
(なまえ)
あなた
ずっと話さなきゃって思ってた。
けど……嶺亜くんに悲しい顔させたくなくてずっと隠してた。本当にごめんなさい。
嶺亜
嶺亜
ううん。話してくれてありがとう。
気づけなくてごめんね。辛い思いさせてたよね?
その言葉にあなたは首を横に振る
(なまえ)
あなた
そんなこと……
あなたの頭を撫でた
嶺亜
嶺亜
俺がもっと早めに気づいてあげれればこんなに不安にさせなくて済んだのに。ほんとごめん。
あなたがどれほど苦しみ、どれほど一人で耐えてきたのか

ようやく、俺はその重さを知る

何も言わず、そっとあなたを抱き寄せた

あなたは優しさを知り、胸で泣き続ける
(なまえ)
あなた
私、怖い。
何も出来なくなるのが、
夢が壊れちゃうのが、
それと、嶺亜くんが居なくなるのが怖い。
嶺亜
嶺亜
大丈夫。
俺は居なくならないよ?
ずっとあなたの下の名前のそばにいるから。
(なまえ)
あなた
ごめん、隠しててごめんなさい。
嶺亜
嶺亜
謝らなくていい。
辛かったよね?苦しかったよね?
よく頑張ったよ?
そういうと軽く背中を撫でる
俺の暖かさにあなたはまた泣いていた
オレンジ色の光が2人を包み込んだ
そして、その日は2人には忘れられない日になったのだ
𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎⇝

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