この世の女の子がお砂糖とスパイス、
そして素敵なものでできているのならば、
城ケ根あなたは月下美人と一味唐辛子、
最後に致死量の美でできていると言えるだろう。
そして彼女を作り終えた神様は思った。
ア、やっちまったと。
絡まることを知らずに流れ落ちる髪は光の反射で
宝石のように輝き、
星空をはちみつで煮詰めたように甘い瞳は、
誰にも踏み荒らされることのない雪のような肌を
際立てている。
ツンと尖った鼻先は小さく、
ふっくらとした唇は、グロス要らずの柔らかさを持ち、
曼珠沙華の花弁を溶かしても足りないほど艶かしい。
神様は遠い目で地上を見つめた。
こいつ、世に放ってはいけない。
そりゃあそうだろう。
神様が利き手どころか両腕を駆使し、
丹精込めて制作した女だ。
言うなれば最高傑作である。
そんな彼女が人間界に現れたら何が起きると思う?
答えは一つ、争いだ。
ほら、よく聞く傾国顔だとか何とかいうやつだ。
国が傾くどころではない。世界中の人間が、
彼女を手に入れるためならば手段を問わずに
襲いかかる。
それは嫉妬、恨み、優越感など様々であろうが、
如何せん彼女にとって良いものではない。
そこで神様は考えた。
何か策はないか……と。
……
そうだ、美醜逆転の世界にしよう!
そうすれば
彼女の危険すぎる美しさは否定的に捉えられ、
その身を汚されることもない。
ウンウンそれがいい。そうしよう。
神様は少し、
いやだいぶ楽観的であった。
そうと決まれば善は急げだ。
神様はあなたが生まれ落ちるはずであった
世界を覗き込む。
そこには様々な美男美女たちが
笑みを浮かべている姿が映っていた。
ごめんね!
罪悪感など一切感じてないような声色で、
神様は世界をねじ曲げた。
Welcome to the world of dreams!













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!