わたしの言葉を被せるかのように言われた。
伊吹さんからの突然のプロポーズ(?)に
わたしは固まるしかなかった…。
わたしは伊吹さんから目を逸らした。
伊吹さんの声は真剣だ。
本気だと言うことは…わかってる。
でもわたしは、はぐらかしたかった。
伊吹さんは勘のいい人だ。
色々話をしていくうちに
わたしが誰と付き合っているか…
特定まではしなくても
何かに気づくかもしれない。
…はるくんや
はるくんの大事な人達に
迷惑をかけるわけにはいかない。
わたしはこの話題を
早く終わりにしたかった…のに…。
伊吹さんはわたしの疑問に疑問形で返した。
隙だらけ…?
わたしが…?
全く自覚のない指摘に
わたしは黙って考え込んでいると
伊吹さんが笑った。
わたしは、伊吹さんに対して、敬語を忘れるほど
少しイライラし始めていた。
伊吹さんそう言いながらも、
テーブルの上のわたしの手に、自分の手を重ねた。
わたしは重ねられていた手を振り解いて
財布を出してお金を置いた。
わたしはそう言って、荷物を持って
立ち上がり、出ようとすると
わたしは伊吹さんの言葉に返事をせず
急いで外に出た。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!