ラウールside
実は小さい頃から喘息持ってて。
って言ってもそんな酷くなくて、発作もあんまり起きないし、運動も日常的に止められてた訳じゃないよ。
ダンスもずっと続けてたし。
メンバーは前に舞台やってたとき、少しだけ調子悪い時期があって、そのときに話したから喘息持ちってことはみんな知ってる。
ほんとにたまにしか苦しくならないんだけど、それでも刺激になるようなことは全部避けてくれてる。
過保護だなあ、って思いつつもそんなみんなの優しさが嬉しくもあるんだよね。
実は、最近の寒暖差に悪い予感がしてて。
自分なりに気をつけてはいたんだけど、今朝少しだけ胸が苦しかった。
こんくらいなら発作出ずにやり過ごせることも多いし、そんな重くは考えてなかったんだけど。
でもまあ元気全開な訳じゃないから、いつもよりテンションは上がらない。
一番乗りで着いたレッスン室で、少し苦しい胸を無視するようにソファーに転がって目を閉じる。
いつの間にか寝てしまってたようで、岩本くんが起こしてくれたのが、レッスンが始まる15分前。
レッスン始まるときに声掛けてくれたのがめめ。
2人ともに大丈夫?って聞かれちゃって、内心びっくりしながら誤魔化した。
そんなに顔色悪いのかな、
自分でも少し不安になったけど、レッスン中はもちろんダンスに集中。
鏡の真ん前に立つ岩本くんを見て、必死に話を聞いて。
いつの間にか胸が苦しかったことなんて忘れてた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。