アンケート
どっちが勝つと思う?
鬼灯真央&フランドール・スカーレット
44%
一条晴&キラ
56%
投票数: 141票
(何倍速しても良い感じになるのでご自分の好みの速度でお流しください)
真っ先に動いたのはフランだった。
降り注ぐ弾幕が消えるのも待たず、自らもレーヴァテインを振りかぶって二人の元に飛んでいく。
一振りするとそこからは大量の赤い弾幕が溢れ出し、フィールド上を埋め尽くした。
ドンッ!
真央は晴の懐に潜り込み、下から拳を振るう。
その瞳にはただひたすらに闇が広がっており、本人の感情なんてわかったもんじゃなかった。
真央は悩んでいた。
自分の対戦相手が最強チートバカ能力持ちの三コンボだという事に。
太刀打ちできない訳では無い、だがきっと押されるのは確実だという事に。
約3日に渡る苦悩を経て、真央が辿り着いた答えは…

―本能に任せ、ひたすらに相手を殺すスタンスで行く事だった。
辺り一帯を飛び交い、降り注ぐ攻撃。
しかしそれは弾幕等では無く…現代で見る様な、銃弾や電柱だった。
晴がそれを受けておもむろに発動したのは、少ない数の弾幕達だった。
その弾幕達は攻撃に当たっては弾け、攻撃の隙間を縫って真央に接近する。
ドンッ!!!
晴は目を見張った。一瞬どういうことかわからなかったから。
気づくと自分は地面に尻餅をついていた、特にアクションなどは起こっていなかったというのに…
…否、アクションは起こっていないと思っていたのに。
詳しい事を考える前に晴はハッとした。下から再度振られる拳に気づいたから。
拳を避け代わりに蹴りを放ちつつ、バックステップで回避する。
視ると、真央の体を巡るエネルギーは僅かにだが変化していた。つまりこれは…
―風よりも速く、鬼をも越える強さを持つ…月下無双の超種族、吸血鬼。
真央はそれに一時的に変化し、天狗に並ぶ速度で晴に肉薄したのだ。
自ら目掛けて真正面から飛んでくる弾幕。上には逃げ場は無い。
真央はそれを受けて勢いよく身を屈めた。そしてその体勢のまま地面を蹴り飛行する事で、
正面からの弾幕を回避する。もっとも、頭と弾幕はまさにスレスレの状態だが。
晴は一瞬目を見開いた。この回避方法は予想外だったから。
だが驚いてもいられない。下から拳を振り上げられる拳を一歩引くことで回避しつつ、
そのままの勢いで回し蹴りを放つ。
そこからは、暫しの間純粋な肉弾戦だった。
殴って蹴って避けて防御しての繰り返し、一発喰らった方がアウトだ。
―そこで、先に違和感を覚えたのは…晴だった。
晴が感じた大きすぎる違和感…それは、真央の戦い方だった。
本来、戦闘の経験と言うのは積めば積むほど強くなる。戦えば戦う程、初見の相手の行動も読みやすくなる。
―だが、真央には…それが無いのだ。
自らが今まで基礎にしてきたマニュアルに何一つ当てはまらない。
二手三手先なんて無い、その場その場で考えて戦っている。
彼女の頭の回転が速いから、そして彼女の戦闘においてのフィジカルが強すぎたから…成せる技だ。
今までとはうって変わって、真央は宙を蹴って浮遊する。
そして、その背後に現れたのは―幻想少女御用達の、巨大な魔法陣だった。
最初は、数本だった。通常弾幕程度の、散らばるナイフだった。
―だが、19秒後…それは悪夢に変わった。
全方位から発射されるナイフ。絶え間なく、隙間無く…一斉に放射される。
見ているだけで目が痛い、隙間を探すだけで頭がおかしくなる。
どこまでも命を奪いに来る…粘着質な悪夢だ。
―『変換』
ダンッ!
―ところで読者諸君、忘れてやいないだろうか。
一条晴という少女が…“最強”だという事を。
そう簡単に避けられる筈が無い。
この無限に発射されるナイフの中をこの短時間で渡り切るなんて物理的に不可能だ。
…だのに、この最強少女は…不可能すらも可能にしてしまった。
ナイフを一つ一つ精密な動きで避けて相手に近づく最短ルートを通った訳では無い。
何故なら晴は…フィールド上を一回転しながら飛んでいくナイフを一周したわけでも無いのに、
自分の正面から攻撃を仕掛けてきたから。
そして、大きすぎる疑問の正体を視認した瞬間―真央は目を見張った。
晴は、ナイフをかき分けていた。
ぶつかってくるナイフを物ともせず、一切の傷も無しに真央に肉薄してきたのだ。
普通に考えて有り得ない。ナイフが当たったら人は死ぬ。
もしそれが一本でかつ偶然持ち手の部分にぶつかったならまだしも、
この無限のナイフ全ての刃では無い部分に当たったなんてそんな事有り得ない。
きっと、頭脳が優秀且つ頭が良い者なら原理を解明して反撃できたのだろう。
しかし、真央は…ただ思考の回転スピードが化け物なだけの、頭脳に関しては一般的な少女である。
ドドドドドドッ!!!!
生命の終焉…一都市を軽く滅ぼせるような弾幕が広範囲を飛び交い、地形も仲間も等しく壊していく技。
1対1の時の最適解では無い…様に見えるが、実際は範囲を絞る事が可能。
―即ち、真央は…
自分の周辺から、本来広がる筈だった大量の弾幕の全てを一斉に自分の身に受けた事になる。
バタッ
…さて、ここで先程の不可解な出来事の種明かしをしておこう。
一言で言うと、晴は周辺の空気…即ち自然を自らの防御力に変換した。
殺傷能力極高のナイフが全身に降り注ごうが傷一つ付かないくらいに。
勿論そんな化け物じみた防御力を手に入れたとなれば周辺の空気は根こそぎ無くなる、
だが晴は変換してからの事も考えていた。
当たってもノーダメージな事を利用し、ナイフを薙ぎ払って一直線に真央に肉薄する。
きっと、ここまでやれば真央もそう簡単には対処できないだろうと予想して。
その予想は大当たりだった。相手が仕組みを理解する前に、正気に戻って反撃してくる前に…
致死量の弾幕を撃ち込んだ結果が、これである。
顔は青いを越えて黑くなり、どんどん血の気が引いていく。
気絶しても尚、本能が警鐘を鳴らしているのだろう。その表情は苦悶に歪んでいた。
―刹那、状況は一変した。
晴に受け止められるようにして飛ばされたキラ…
そして、そんな彼の弱々しく半開きになった見据える先に立つ余裕そうな顔をしたフラン。
その体には所々に打撲後と血が滲んでいた。
顔も心なしか青ざめており、歯はガタガタと小刻みに震えている。
説明する間もなく自らの元に肉薄するフランに、晴は苛立ちの表情を隠そうともせずスペルを放った。
右手を突き出すと共に、フランに向けて大量の弾幕が襲い掛かる。
自分と相手の間に弾幕の壁ができ、フランは退きを余儀なくされる。
意識が逸れている状態の肉薄だったにも関わらず即座に対応されるのは予想外だったのだ。
フランが一歩下がったのを視認した瞬間、晴はキラを抱きかかえ素早く距離を離す。
フランの周辺には絶え間なく弾幕が飛び交っており、そう簡単にはこちらに来られないだろう。
不安と焦燥が入り混じった目でキラの様子を見下ろす事しか出来ない。
真央との戦闘では、弾幕が多量に使用されていた…
発射音でキラ達側から聞こえる音がかき消されても確かにおかしくない。
ザンッ!!!
何かを勢いよくグレイズし、そして切り裂く音。
振り向いた時、その碧色の目に映ったのは…
レーヴァテインを振り下ろし、ゆっくりと顔を上げるフランドールの姿だった。
全てを見透かすような真っ直ぐな眼光で、晴はフランをじっと見つめる。
碧色の瞳が問い詰めた、紅色の瞳は…場の雰囲気に似つかわしくない笑みをゆっくりと浮かべた。
銀河『生命の終焉』
フランは反射的に目を見張った。
自らの頭上から、正面から、足元から…弾種も、大きさも、色もゴチャゴチャな弾幕の雨が発射される。
先程一瞬だけ感じた気配…真央が倒れる前に感じた膨大すぎる魔力。
そこでフランは理解した。自らが何よりも嫌う少女はこの技で倒されたのだと。
何か大きいもの一つを破壊するのは簡単だが、小さいもの一つ一つを破壊していくのは難しい上に非効率的だ。
物質の目を手繰り寄せて破壊する能力の性質上、むやみやたらに爆発を起こすことは出来ない。
何か建物などあれば話は変わっていたのだが、生憎ここは空気と床以外何も無い空間だ。
しょうがないのでむやみやたらにレーヴァテインをぶん回しつつ、勢いに任せて晴に斬りかかる。
晴はそれを受けて即座に右へと回避した。
…もっとも、その一連の挙動の違和感に…フランは気づいたようだが。
禁忌『恋の迷路』
ノリに乗ってきたというべきか、更にイカれ狂ってきたというべきか…
フランは楽しそうにとにスペルを発動する。そして発射されたのは、大量の赤と黄の弾幕だった。
隙間が無いように見えて、一点だけ空いている場所…
この大量の弾幕を搔い潜るにはここに入り込むしか無いだろう。
『変換』
グンッ!
ピチューン!
視界が一回転し、次にフランが見たものは…自ら向けて落とされる、自分の技だった。
自分の技な為ダメージは多少は軽減されるが、だとしても弾幕の下敷きになった事は事実だ。
吸血鬼の治癒力を以てしても一瞬では引かない痛みに眉を顰めつつ、条件反射で右手を突き出す…
―自らの元に迫る一閃の矢を、確かに視認したから。
ドカーン!
どうやら返答は、言葉では無く弾幕の様だ。
右手を掲げ、その中で光が渦巻くと同時にフランは飛翔する。
そして空中から妨害がてらいつもの…通常弾幕を放った。
ピカッ
―刹那、フランの脳内に一筋の光が過った。
そして、それにハッとして顔を上げたと同時に目に映ったのは…自らに肉薄する晴の姿だった。
ドカーン!
晴が目を見張った要因、眼前で突如起きた爆発。
その正体は…フランが空中で空蹴りを放ったことで起こった衝撃波だった。
―そして晴は…少女の様子を見て、もう一度目を見張る事になる。
沈黙は肯定とは言うが、それと目を見張る行為ならどちらがバレにくいのだろうか。
能力の仕組みを見切られ、眉を顰める晴の姿は…フランの目に、どう映っていたのだろうか。
フランは見逃さなかった。
一瞬だけ、晴の眼光が鋭く、重く、冷たくなった事を。
心の奥底に潜む激情を、何としてでも封じ込めている様な暗闇を。
おもちゃを見る様な目で、楽しそうに笑ったフラン。
そして…足元から感じた不気味な気配。気づいた時にはもう遅かった。
妖しげな光を放つ、4つの魔法陣は…次の瞬間、攻撃を開始した。
ドドドドドッ!!!
晴は空気と変換しエネルギーに乗る事で飛翔する。
―だが、罠は足元だけでは無かった。
空中に張り巡らされた魔法陣の数々。その全てが光り輝き、晴を包囲している様だ。
ドドドドド!!!
視界は、一人の少女に遮られた。
近づいてくる気配も、空気の揺らぎすらも…一切感じなかったというのに。
少女は笑っていた。
可愛らしく、愛らしく―最高に狂った様な笑顔で。
キュッ


「―命は、モノって事よね?」
ドカァァァァァァァァン!!!!!
第一戦
“第一幕”
―終幕。










































編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!