ソファで、ふとあなたの肩に頭を預けさせてもらったまま座っていると、
彼女の呼吸が少しずつ深く、ゆっくりになっていくのが分かる。
「……あれ、寝ちゃった?」
小声で呟く。
微かに震えるまつげ、唇の端の柔らかいカーブ、 ふんわりと香る髪。
目を閉じた彼女の寝顔は、あの頃より少し大人になっていて
でも変わらずに、愛おしかった。
——あの日、付き合ってた頃も、 こうして隣で眠ってくれたな……
ふと、胸の奥がぎゅっと締め付けられ、 あの頃の思い出が一気に蘇る。
笑い合った夜、ふざけてじゃれた日
香水のことばかり考えて、少しすれ違った日々。
そして、今。
こうして隣にいるのに、時間は戻らない。
でも、確かにこの温もりは今ここにある。
目頭が熱くなり、涙がひとすじ頬を伝う。
嗚咽はしない。 ただ、静かに、切なさと幸福が混ざった涙が流れ落ちる。
——あなた、ありがとう……
——今、こうしてそばにいてくれて。
少し肩を震わせて泣く俺を、寝顔の彼女は知らない。
それでも、この静かな夜に、すべてを許されている気がする。
時間が少しだけ流れたあと、 肩越しに感じる温もりに安心して、俺も自然と目を閉じる。
眠気に包まれ、涙で濡れた頬を拭う間もなく、 そのまま、静かに寝落ちした。
窓の外の月光だけが、二人を柔らかく照らしている。
ソファの上で寄り添ったまま、 切なさも、懐かしさも
幸福も、 すべてがこの夜に溶けていくようだった。
——明日の朝も、
——二人で、少しずつ歩いていこう。
夜は深く、静かに、 二人だけの世界を優しく包み込んでいった。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。