「好きだ」
それは、あなたが寝ているのを良いことに告げた言葉だった。
起きていた時に言っても彼女を困らせるだけ、そう思っていた
好きという気持ちを吐き出してしまえば楽になると思ったのだろう。だが、小峠は心の奥で締め付けられる感覚があった
小峠はその感覚を見て見ぬふりをし、ため息をついた
ベッドの端に腰を下ろしてあなたを見るその目は愛しい者を見る目だった
前髪を分け彼女の額にキスを落とした
それでも尚、起きない彼女に小峠は少し不安を覚えた
再度ため息をついた小峠は、ゆっくりと立ち上がりドアに向かって歩きだした
ドアノブに手をかけた時、あなたの方を一度振り返った
まだ寝ているかを確認してドアへと向き直り、起きないようにそっと扉を開けて何も言わずに部屋を出た。
小峠が出て行って数分経った後、何も知らないあなたがむくりと起き上がった
ぼやけた頭でそんなことを考えているとノックする音が聞こえた
眠い目をさすってベッドから降りた
それと同時に姐さんが部屋に入ってきた
そう言って姐さんは心配させないように優しく微笑んだ
姐さんはそれだけ言うと早足で戻って行った
考えてもしょうがないと思い、あなたも部屋を出た
事務所の出入り口へ向かう最中青いスーツを来た男性にぶつかった
その後、青いスーツの男性と別れ事務所を出た
外では下っ端が運転する車が停まっていた
ぶんぶんと喧しいくらいに手を振っている下っ端に対して同じく手を振り返した
車に乗った二人は天羽家へ向かった











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!