黒百合。黒薔薇の所属する棘薔薇の対立している家柄、枯百合。
まぁ、そこにかの有名な二家の間の禁断の恋愛なんてものないのだが。
枯百合家も有名な王の側近として動いている家柄である。
しかし、側近としての現在の知名度は指で数えられるほど低い。
何故ならば…__________________だから。
そして李酒莉瑠は、その枯百合家の者なのである。
つまり、百合から薔薇に送られた刺客という事だ。
薔薇の棘が刺さる。枯れたはずの百合が、咲き誇る。
黒い花弁が、舞う。
球根が飛ぶ。今を咲き誇っている薔薇が、踊り狂う。
鋭い視線が、衝突。
相成れない二人の織り成す、色の違う二筋の黒。
閃光は瞬かない。瞬く余裕などない。
百合は薔薇にも劣らなく、美しく咲き誇る花。
どちらがより美しいか、麗しいかを賭けて、舞う。
薔薇の棘が行き交い、球根が爆ぜる。
華やかに散る花弁は、どちらの者なのか…?
無様に散ったのは、
かつての王者風格を持ち、
後釜に座ろうとした愚か者のものだった。
巻き付く薔薇の蔓。なのだが、少し緩かったようで。
薔薇は、美しく見えて己を護る為鋭く痛い棘を持つ。
誰も、黒薔薇が割れた硝子を持っているとは思わないだろう。
それは、光を反射せずただ黒く染まり、棘を生やす。
それは、他人には見えない薔薇の腐敗。
腐敗を隠すために、他人を寄り付かせ無い。
その為に、棘を生やす。悟られたくない醜さを隠す為に。
そうして口を開いた黒百合から聞いた話。
枯百合はあの時から衰退し、今や存続の危機に陥っているという事。
そして、そんな中でいまだにこちら側に堕落してこない棘薔薇が鬱陶しいこと。
ならば、その栄華の中にいる薔薇をこちらに落としてしまえばいい、散らしてしまえばいい。
その為には、黒薔薇や白薔薇と言った中心人物の信用度が下がればいい。
自身が悪評を流そうものならおそらく特定して即座に折られる。
ならば、自分が中心人物たちのいずれかに成りすまし、悪徳の限りを尽くせば
薔薇の信用度が下がり、百合の方にも目が行くのではないか。ということらしい。
ただ、難しいのが百合がそう簡単に情報を出すのかという事だ。
一つの線としては、黒薔薇に成り代わり王を暗殺して薔薇に罪を着せた上で
由緒正しい王の仇を討ったとしてあわよくば王になろうとしていたのではないか。
何故だろう。黒薔薇と黒百合は姿が似ていたのである。
本当に似ているはずがないのに。
敵対していて一度も友好を結んだことのないはずの二家。
ならば、何故姿が似ていたのだろう。他人の空似と言う言葉はあるが…
そんなことないような気がする。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。