第7話

7.
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2026/03/06 13:21 更新

演奏自体は撮影不可だった。
ホールの入り口にも、客席にも、しっかりと「撮影禁止」の表示がされている。
だから演奏中に写真や動画を撮る人はいなかった。



しかし、演奏が終わりスヒョンが舞台袖に戻った後
あなたは両親を探すためにフロアへ出てきた。
その瞬間だった。

観客
 아… 아까 그 솔리스트였구나あ…さっきのソリストだ

誰かが小さく言ったのをきっかけに、あなたへ向けられた。
そして何人かが、そっとスマートフォンを取り出した。




パシャ
シャッ
シャッ



遠くから、こっそりと写真を撮る音。
あなたはそれに気づいていなかった。



両親を探すことに必死だったからだ。
結果として、それはいわゆる“盗撮”のような形になった。
しかし撮影した人たちは悪意があったわけではない。
むしろ逆だった。

観客
 아까 그 첼리스트 진짜 예쁘지 않아?さっきのチェリスト、めっちゃ綺麗じゃない?
観客
 마치 모델 같았어モデルみたいだった
観客
 스타일이 대박이야スタイルやばい

そんな声が広がり、撮った写真や動画はSNSへ投稿された。
それが思っていた以上に拡散された。




だが ────────
当の本人、あなたはまったく知らなかった。
あなたはSNSにほとんど興味がない。

Instagramも、コンサートの告知や写真をたまに投稿する程度。
他人の投稿を見ることもほとんどない。
だから自分がSNSで話題になっているなんて、夢にも思っていなかった。


数日後のことだった。



昼間、あなたは自宅でチェロの練習を終え、
ソファに座ってスマートフォンを触っていた。


何気なくInstagramを開く。
すると、DMに「1」という通知があった。
あなたは首を傾げながらメッセージを開いた。

(なまえ)
あなた
 이게 뭐지…?これ何だろう…?
 そこにはこう書かれていた。
スタッフ
 안녕하세요. SBS 예능 프로그램 ‘스타 스테이지’ 제작팀 스태프 박지훈입니다. 이번에 프로그램에서 あなた 씨를 인터뷰하고 싶어 이렇게 연락드리게 되었습니다. こんにちは。SBSバラエティ番組『スターステージ』制作チームのスタッフ、パク・ジフンと申します。この度、番組であなたさんを取材させていただきたく、ご連絡いたしました。

あなたは画面を見つめた。
そして一言。

(なまえ)
あなた
 …뭐야 이거…何これ
しばらく無言でスマホを見ていたが、やがて肩をすくめた。

(なまえ)
あなた
 가짜 같은데ㅋ偽物っぽいけど笑

そう思ったあなたは、そのままスマホを置いた。




その日の夜。



あなたは友人とバーで飲んでいた。
その友人は、あなたのマネージャーのようなこともしてくれている人物だった。
正式なマネージャーではないが、コンサートの管理や連絡などを手伝ってくれている。



グラスの中のカクテルを軽く揺らしながら、あなたはふと思い出した。

(なまえ)
あなた
 아 맞다あ、そうだ

スマホを取り出す。
(なまえ)
あなた
 이상한 거 왔거든変なの来たんだよね

そう言って、友人にDMを見せた。
あなたは笑いながら言う。
(なまえ)
あなた
 이거 봐. 이상한 DM 왔어. 완전 가짜 같지? これ見て、変なDM来たんだけど、完全に偽物っぽくない?

友人は画面を見た瞬間、目を見開いた。
友人
…어?…え?

そして大きな声を出す。
友人
 에에!?!えぇ!?!
あなたはびっくりする。
(なまえ)
あなた
왜?何?
友人は画面を指さした。
友人
 야 あなた, 이거 인기 프로그램이야! ちょっとあなた、これ人気番組だよ!

あなたは笑った。
(なまえ)
あなた
 에이 설마ㅋえぇまさか笑
友人は首を振る。
友人
 진짜라니까!本当だって!

そして画面をよく見て言った。
友人
 그리고 이거 공식 계정이야. 진짜야! しかもこれ公式アカウント。本物だよ!
あなたは固まった。
(なまえ)
あなた
…에?…え?
友人は身を乗り出す。
友人
 이거 받아! 완전 기회잖아!これ受けなよ!完全にチャンスじゃん!

あなたは困った顔になる。
(なまえ)
あなた
 에에… 나 이런 거 좀 부끄러운데えぇ…こういうのちょっと恥ずかしいんだけど
友人は笑いながら言う。
(なまえ)
あなた
 근데 왜 나지…?でも何で私…?

あなたはグラスを持ちながら考える。
友人は即答した。
友人
 あなた라서지!あなただからでしょ!
友人
 그러지 말고 일단 물어봐!そう言わずに聞いてみなよ!
あなたはまだ、半信半疑だった。
(なまえ)
あなた
 그럼… 한번 물어볼게じゃあ…ちょっと聞いてみる
スマホを開き、返信する。
(なまえ)
あなた
연락 주셔서 감사합니다. 좋은 기회인 건 알지만… 왜 제가 대상이 된 건지 궁금합니다 ご連絡ありがとうございます。ありがたい機会ではあるのですが…なぜ私が対象になったのか気になっています

送信








数分後。
スマホが震えた。
あなたは画面を見て驚く。
(なまえ)
あなた
 어? 벌써 왔어え?もう来た
友人にスマホを見せた。
返信にはこう書かれていた。
スタッフ
 최근 ‘외모가 뛰어난 첼리스트’로 SNS에서 큰 화제가 되고 있습니다. 그래서 꼭 한 번 모시고 싶었습니다! 最近“容姿端麗チェリスト”としてSNSで大きな話題になっているため、ぜひ一度出演していただきたいと思いました!

あなたは思わず声を上げた。
(なまえ)
あなた
…하?…は?
友人は笑い出した。
友人
 야 あなたやぁあなた
友人
너 지금 SNS에서 유명한 거 몰라? あんた今SNSで有名なの知らないの?
あなたは本気で驚いた。
(なまえ)
あなた
 무슨 소리야?何のこと?

友人は呆れたようにスマホを操作し、画面を見せた。
そこにはあなたの写真や動画。

そしてコメントの数々。

アイドルみたい
スタイル良すぎ
落ち着いてて大人っぽい
恋に落ちそう
かっこいい



あなたは目を見開いた。
(なまえ)
あなた
 잠깐… 이게 뭐야?ちょっと…何これ?
友人は笑う。
友人
 그래서 말했잖아ㅋだから言ったでしょ笑
友人
 あなた은 지금 인기 많다고あなたは今人気あるの

あなたは困った顔をする。
(なまえ)
あなた
 에에… 나 그런 거 별로인데えぇ…そういうの別にいいんだけど
友人は肩をすくめる。
友人
 그래도 나쁘지 않잖아でも悪くないじゃん
そして少し真面目な顔で言った。
友人
 혹시 더 많은 기회가 생길 수도 있고 もしかしたらもっと色んなチャンス広がるかもしれないし

あなたは少し考え込んだ。
グラスを見つめながら。

そして、小さく呟いた。
(なまえ)
あなた
아…あっ…
友人が聞く。
友人
왜?何?

あなたは遠くを見るように言った。
(なまえ)
あなた
 만날 수 있을까…?会えるかな…?
友人は首を傾げる。
友人
 누구?誰?
あなたは静かに言った。
(なまえ)
あなた
 그 애…あの子…
友人は笑う。
友人
 뭐야 갑자기ㅋㅋ 누구야 그게?何それ急に笑誰なの?

だがあなたはそれには答えなかった。


スマホを手に取る。
そしてDMを開く。

(なまえ)
あなた
 출연 제안 감사합니다. 참여하겠습니다 出演のご提案ありがとうございます。出演させていただきます


あなたの頭の中に浮かんでいたのは、
ただ一人の少女だった。


───────── ガウル。




もし今、本当にアイドルになっているなら。
なっていなかったとしても。




もしかしたら。
どこかで
会えるかもしれない。



彼女が放送を目にしてくれたら。

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