涙目になりながら私の手を握ってそう話すこの人
そういえば、あの時は名前を聞けなかったため
まだこの人の名前を知らないことに気付く
流石に恩人の名前を知らないのも失礼だと思い
手を握られたことに戸惑いつつ口を開く
名前までも可愛らしい蜜璃さん
でも、あの日鬼から私を守ってくれたということは
きっと蜜璃さんはとても強い人なんだろう
この華奢な体からは想像もつかないが
あの日の蜜璃さんの姿を思い出せば納得してしまう
蝶のように軽やかに舞いながら鬼を狩る姿は
あんな危険な場には似合わない言葉だろうが
今まで見たどんなものよりも美しかった
私も蜜璃さんのように強くなって、人を守れたら
誰かに愛されるような人になれるのだろうか
誰かを愛せるようになるのだろうか
不確定な未来を思い描くほど余裕がある訳ではない
だけどどうしても心が高ぶって仕方がない
ずっと求めてきたものにやっと手が届きそうなのに
見て見ぬふりをして生きていくことなんて出来ない
***
蜜璃さんは私が鬼殺隊になれるかと聞いた時
驚いた顔をした後に少し悲しそうに微笑み
私の手を引いて甘味処に連れてきてくれた
甘味処…来たのはいつぶりだろうか
最近は外に出ることも億劫になっていたから
尚更久しぶりな感じがする
でも蜜璃さんは何故私をここに連れてきたのだろう
甘いものは好きだけど、意図が全く分からない
両親を失くした私を慰めるためなのだろうか
それなら申し訳ないことをしたかもしれない
私は両親を失くしても悲しいとは思えていないから
そう真剣な顔で言葉を紡ぐ蜜璃さんは
きっと私に鬼殺隊に入ってほしくないのだろう
恐らく鬼殺隊の人はあの鬼を狩ることが任務
それは全然安全な任務ではなくて
必ず危険が伴うということは私にもわかる
だからそう簡単に了承することが出来ないのだろう
私に命を背負う覚悟があるか分からないから
明日が来ない恐怖に耐えられるか分からないから
だけど私も生半可な覚悟で言った訳ではない
命を捨てる覚悟ならとっくに出来ているのだから
蜜璃さんが真剣な眼差しでこちらを見ている
私なりに覚悟を見せたつもりだが
蜜璃さんがどう解釈したかは分からない
強く握った拳に力が入り、熱が込もっていく
嗚呼、ごめんなさい蜜璃さん
私は恩人である貴女にすら嘘をついてしまった
そんな綺麗な理由で鬼殺隊になりたいわけじゃない
のに
愛されたいと、思ってしまっただけなのに
***
お気に入り40⇡ありがとうございます😭💖
まさか短期間でこんなに沢山の方に見て貰えるとは…
これからも頑張りますのでご愛読よろしくお願いします!
交換宣伝です!
タイトルから分かりますよね、神作だって
読まないという選択肢は無いです!是非!













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。