ガラス張りの向こう、ずっと自分を見てくる存在がいる。
板を片手に持ち何やら話しかけてくる存在は、人間の男と言う存在らしい。
男は自身を『伊藤』と名乗った。
伊藤は生まれた頃から"ソトノソンザイ"に見られていた。
周りから理解を得られなかった伊藤は、一人で"ソトノソンザイ"に立ち向かう為に俺を作ったと話してくれた。
"ソトノソンザイ"と言うのは、今も俺を見ているあの目のことなのだろうか。
俺が生まれた理由はあの目を倒すことなのだろうか。
伊藤は毎日話しかけてきた、自分のことや、好きなもの、嫌いなもの、なんでも教えてくれた。
話し相手がいなかった反動か、伊藤の口数が減ることはなかった。
だからか、動かなくなった時寂しさを感じた。
原因はわからない、ただ痩せ細っていた。
俺は伊藤の体を取り込む、液体で出来た羽で。
すると伊藤の頭の中を初めて見れた。
同時に"ソトノソンザイ"への恐怖も伝わった。
俺は"ソトノソンザイ"へ立ち向かうことにした。
それには、まだ、力が足りない。
伊藤を取り込むと次元を理解し別の次元に行けたように、他に"ソトノソンザイ"を認識する者を取り込めば、別の伊藤を取り込めば力が貰えるのかもしれない。
目の前にいる男が本を読みながら気怠げにそう返す。
彼が別の世界の伊藤なら、彼も"ソトノソンザイ"を認識できるものなのだろう。
彼が"ソトノソンザイ"に話しかける日まで、俺は待つ。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。