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第1話

1.リセットはまだ入らない
2
2024/06/07 07:47
「ようこそ皆様。
今宵も"4219サーカス団"によるショー
を、心行くまでご覧ください!」

__アナウンスが流れる。
登場までの時間はあと少し、
それまでに、この状況を何とかしなくては

    "アイツにころされる。"
ピラフ
ほら、みんな落ち着いて。
大丈夫だから。
皆を落ち着かせる為に吐いたこの言葉も、
きっと、プレッシャーになってしまうのだろう
けれどもそれ以外にかける言葉は見つからなかった。
フェルニ
無理、無理なの。
動物達は元気がないし、
私にはもう何もできないの!
涙を溢しながら調教師の彼女はそう言う。
動物がいなければ凄いものは何も見せられない。と
サリィ
あたしだって。
もう何にも無いよ!
種も、仕掛けも。足りないよ……
手品師の彼女が俯きながらそう言う。
今日はもう立て続けに合計10個の手品を披露していた。"被らないように"なんて無理に等しいだろう。
ルイラ
私も、もう踊れないよ……
手も足も痛いの……
踊り子の彼女が悲しそうにそう言う。
練習も含めると九時間ぐらい踊り続けだった訳だ。
疲れていても無理はない。
イサク
僕にはもう無理だよ。
疲れたとか、そういうのじゃなくって。
ブランコ、壊れちゃったから。
シツイ
直そうとしてるけど、
すぐには直りそうにないよ。
ブランコ乗りの彼らが遠慮がちにそう言った。
壊れてしまったのなら、もう彼らに客を楽しませる自信のある物は何一つない。
ボクがどうにかするしかないのだろうか。
一人では、おどけることもできないが。

せめて少しだけ、少しだけ皆の出番が遅れたなら。
少しだけ日にちがずれたのなら。
幕が上がる。
ボクの出番だ。
任せてよ。皆を生かしてあげる。
ピラフ
お前ら観客が望んでるのは、
気の狂った頭の可笑しい道化なんだろ?
誰も思わなかっただろう。
あの大人しい彼が、こんな事をするなんて。
また、ショーは遡る___

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