さえちゃんが戻ってくるまで何してよう。
教室でただじっと待っているだけなのは、誰もいないはずなのに少し気まづかった。
スマホを使おうと思えば使えるが、制限がかかっていて難しい。
あなた「勉強、でもしてようかな」
逆にそれしか思いつかない。
さえちゃんの荷物を机の横のフックにかけて
自分のバッグを床に下ろし、そのバッグから勉強道具を取り出した。
それを机に広げ、ノートに今日の日付を書きながら
教室に1人だけというなんとも新鮮な視界を噛み締めてつい鼻歌を歌う。
そんな時だった
ガラガラ
生徒「あのーすんません、!ここまだ使ってますか??」
あなた「!」
ガラガラと勢いよく教室の中に誰かが入ってきた。
見たことの無い人、恐らく3年生だろうか、
なんだろう、ここの教室になんか用でも…
あなた「あ、いえ、特には…」
生徒「あーすみません、ここ、放送委員が使いたくてですね…もし良かったらその、…3階の方に…行ってもらっても…?」
あなた「あっ…」
そうだった、今日ここの教室使えないんだった。
ついさっき放送で用がある人は3階って言ってたのに
完全に忘れていた。
あなた「あっ!すみ、すみませんでした!!!」
生徒「あ、そんなに慌てなくても…!!」
それを思い出した瞬間なんだか恥ずかしい気持ちになった。
だって使えないってわかってたはずの教室で一人で勉強しながら鼻歌を歌うとか…。
絶対になんにも話を聞いてない人だと思われた。
歌ってるの聞こえたかな、聞こえたよね…
あなた「っ、/」
自分でもわかるほど顔を熱くして、
さえちゃんの荷物と自分の荷物をまとめて勢いよく教室を飛び出した。
あなた「すみませんでしたっっ、!」
生徒「あっちょ、!三階って言っても奥の教室は他校の生徒が…!って!ちょっと聞いてます!?」
ごめんなさいごめんなさい、何か後ろで私に話しかけてはいたけど
あまりに初めての出来事で動揺しているのか
それを冷静に聞くほど私は落ち着いていなかった。
なんでそんなことで恥ずかしがってるのかも分からないけど…
・
・
・
とりあえず、3階への階段を一つ一つ駆けていった。
あなた「はぁ、」
運動をあまりやっていないからか、息が多少あがりながらも3階にあがり、
そこから誰も使ってなさそうな端にある教室に行くことにした。
端っこの教室なら、普段の学校生活でも空き教室になってることが多いので、
そこなら誰も来ないと踏んだのだ。
ガラガラ
あなた「!?」
けどなんでだろう、今日は考えがいい方向に行かない
??「おっ、…と?」
あなた「えっ、」
??「え」
あなた「え」
誰も居ないはずの教室の中には、沢山の人がいて…
しかも上半身洋服を纏っていない男の子たち。
全員こちらを見ている。
あなた「・・・」
そんな状況に何も言えず、立ち去るべきなのに足も動かない。
ただ口を開けて唖然としていると、1人の男の子が私に近づいてきた。
背がものすごく高くて、なんだか髪型も特徴的で目つきも鋭い人。
そんな圧迫感に少し怖さも覚えてしまうほどのオーラ。
??「あっ、えっと、すみませんここ使わせてもらってます、音駒高校のものでして…」
あなた「ねこま…」
そんな見た目とは裏腹に、落ち着いた低い声が私にそう説明した。
ねこまって、今日さえちゃんと見るって言ってたバレー部の練習試合相手………
私はそんな練習試合の相手がいる教室に乗り込んでしまったということ?
あなた「っ………/」
??「あーごめんなさいお見苦しいものを…今みんな着替え中で…笑」
自分がかなり失礼なことをしてしまったことと、
何よりこの着替えているというタイミングを視界に入れてしまったことが恥ずかしくてたまらなかった。
さっきの鼻歌の件よりも断然。
あなた「大丈夫です、大丈っ夫、失礼しまし、たっ!//」
何とか1歩後ろ足を出して、教室の引き戸を閉める。
その途端、心臓がバクバクと鳴りだした。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。