ぴくとside
今日もあなたの名前(カタカナ)と登校する予定だった
だから待ち合わせ場所にいたけど
俺の元に来た彼女は
そんな明るい顔、久しぶりに見た
けど、あなたの名前(カタカナ)はそんな顔しない…できない。
それも全部、あいつらのせいだ……。
あなたの名前(カタカナ)の身体の中にいる別の人間…
彼女を操っているように思えて、腹立たしく感じた。けど、
ほんの一瞬だけ、トレシアを見る彼女の目に怒りを感じた
もしかすると、中の子はあなたの名前(カタカナ)のことを
愛してくれてるんじゃないかって、大切に思ってるからこそ
あなたの名前(カタカナ)を追い詰めたトレシアを怒ってるんじゃないかって
そう思えるような瞳をしていたから、なんとなく
敵じゃないんだって、思えた。
もしかしたらあなたの名前(カタカナ)を救ってくれるんじゃないかって
根拠のない、淡い期待をしてしまった
目の前の彼女を信じたくなった、けど、ただ……一つだけ
彼女の傍を離れたくなかった、どんな後悔だよって…
なぜか、俺の知る、可愛くて、優しくて、大好きな彼女は
もう居ないんだと、分かってしまった…
俺が、助けてあげたかった……今更、
忘れ物をしたと言って駆けていったあの子を見て
呟いた俺の言葉は、誰にも聞こえることなく消えていった
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!