拠点に戻った瞬間だった
刀也が静かに言った
そう言いながらも、雲雀に肩を掴まれて、奏斗に背中を押されて、結局そのまま医務室行きになった
奏斗が笑いながら言う
セラフが横についた
視線がやけに近い
離れろとも言えず、そのまま医務室に入る
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医務室に入ると、セラフが手早く棚を開けた
淡々とそう言って、消毒液とガーゼを準備しだす
セラフの手つきは無駄がなかった
自分の身体を手当てしてきた人の動きだ
少し離れたところで葛葉が腕を組んで、ずっと俺の顔を見ている
処置が終わって、頬にガーゼが貼られたそのとき
廊下が一気に騒がしくなった
ローレンの声が一番デカい
ハヤトが勢いよく入ってくる
叶が後ろから顔を出す
ガクや湊、アキラも一緒だった
一斉に視線が集まる
叶が小さく笑って口を挟む
葛葉が低く言った
一瞬、空気が止まる
ローレンが続ける
俺は少し考えてから、肩をすくめた
それだけの理由だったけど、その一言で全員の肩から力が抜けたのが、はっきり分かった
葛葉が小さく息を吐いた
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アキラが呆れた声を出す
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それでも、誰もすぐに医務室を出ていかなかった
俺がちゃんと立って、ちゃんと喋って、ちゃんと生きてるのを、それぞれ勝手に確認するまで
正直、大袈裟だと思う
怪我といっても浅いし、一応ボスなんだからさ、メンバーの誰よりも強い自信もある
そう簡単には死なない。死ぬつもりもない
でも、こんなふうな状況も、悪くはないな、とは思っている













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。