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第3話

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2026/04/21 14:29 更新
side:🍊




グループを組んで分かった事。

隼大は人一倍優しくて、人一倍気遣い屋で、人一倍努力家だった。


研修生からの仲だったので、ある程度こいつの性格は把握しているつもりだった。だけど、それを上回るくらい、日々神経をすり減らしながら生きている感じがする。それがグループの最年長で、リーダーという役目を担っているからだという事は言うまでもないだろう。

彼は俺たちメンバーみんなに優しく明るく平等に接した。
おかげで、内気だった俺も隼大を介してみんなと打ち解ける事ができた。

そう思ってるのは俺だけではないと思う。






th「なぁ、隼大」
st「んー?」


なんとも間延びした声だ。

メンバーの中でも付き合いが少し長い方の俺や、研修生時代に隼大の家に入り浸っていた晴海に対し、こいつは少し気を抜く。

それでいい。そのくらいでいい。


th「最近、なんか悩みとかあんの?」
st「…あるように見える?」
th「いや、全然」
st「なんだそれ」


ぺしん。
隼大の細くて白い腕が伸びてきて、俺の二の腕を弱々しく叩いた。ツッコミのつもりか。


st「そういうてるはどうなの?最近大丈夫?」
th「悩みあるように見えるか?」
st「んー。見えるって言ったら?」
th「残念だな、何もない」


隼大はまた「なんだそれ」と言って笑った。
つられて俺も笑う。


居心地がいい、というのはこういう事をいうのだろう。

隼大と一緒にいる時間は、少しゆっくり時が流れているような、のんびりとした空気になる。ありのまま、リラックスが出来るこの瞬間が、なんとも言えず心地よかった。

グループを組み、用意された宿舎で共同生活を行っても尚、こうやって彼の部屋に用も無く来たくなるのは、この心地よさを感じたいと思っているからだ。


st「てるはさ」
th「おう」
st「BLドラマとか見た事ある?」
th「無いな」
st「だよね」


そう思っているなら最初から聞くな。とも言えず。
かと言って、どうして急にそんな事を聞くんだ?なんてそれ以上踏み込んだ言葉も発することは出来なかった。

うーん、と小さく唸りながら腕を伸ばし、そのまま仰向けになるように隼大は寝転がった。
新しく買ったと言っていた少し毛並みの長いカーペットはこいつの薄っぺらい身体を上手く保護していた。冷たい床に直に寝転がるなんて事をしたものなら隼大の骨張った身体はバッキバキだ。


st「勉強してみようかなぁ」
th「何をだよ」
st「BL」
th「何でだよ」
st「ふはっ、いいツッコミ」


そういえば、この前勇輝が新しいBLドラマだか映画だかがエモいの〜!なんて言ってはしゃいでいたな。


どこまでこいつは真面目な男なんだろう。

メンバーと向き合いたい。知りたい。もっと近付きたい。そんな前向きな気持ちがヒシヒシと伝わる。

きっとこういう真っ直ぐなところがメンバーの心を開くのだろう。


th「まぁ、勉強はほどほどに」


後ろ手をついた時に触れた新しいカーペットの毛がふわふわと指に絡み付く。

まるで隼大のようだと思った。

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