第35話

写絵・陸
62
2025/11/02 23:41 更新
🥷
そんなの単純。
禍津日神を完全体にさせたくないから。
それは意外な一言だった。
🐱
え??なんで?
🥷
え?逆になんで?
🐱
え、だって、霊じゃん。
味方じゃん。
🥷
霊か人間かで一括りにすんなよぉ。
🐱
いやいや、するでしょ普通。
死んでんじゃんそっち。
🥷
世の中には良い奴も悪い奴もいるんだよ。
🐱
良い怨霊ってなんだよ
矛盾しすぎだろ....
お前もちゃんと人間に被害与えてんじゃん。
根は良い奴なのは分かるけど、
沢山の人を殺している以上、許されないこともある。

目の前に居るやつが俺でよかった。

レトさんだったら今ブチ切れて
店内が収集つかないことになってるぞ。
🥷
ごめんね、言い方が悪かった。
こちらが少し怒っていたのが気取られたらしい。
困ったような弱々しい声で謝り、反省の態度を見せる。
🥷
.....いや、良い言い方なんてのはないか。
ため息をひとつ吐いてから、
そう言って続けた。
この話には続きがある。

俺は、間に入らず、ずっと聞いていた。

俺の質問の答えがきっと出てくると思ったから。
🐱
...
🥷
俺は_______
プルルルル、

スマホの着信音で言おうとしたことがかき消される。
いや、すげぇ気になんのに!!!!
🐱
ごめ、電話きた。
🥷
誰から?
間が悪いなぁ、と零しながらこちらに尋ねる。

スマホは一応連絡用で持っている。
主に電話、それ以外は音声入力。

目が見えないとなるとやっぱりそういう所は不便だ。
🐱
レトさん。多分。
俺私用でかかってくんの
レトさんしか居ないから。
🐱
ま、声聞きゃわかるけど。
画面、これ誰って出てる?
スマホの画面の方をガッチマンに向ける。
文字が読めないため、
確認してもらうにはこの手しかないのだ。
🥷
レトルト。
🐱
ほら。やっぱり。
🥷
買い出しの頼みかな?
俺ここで待っとくから電話出てきなよ。
🐱
おっけ。そうする。
🥷
🦀
"キヨくん、今どこ!?"
音質が悪い、というか荒れている。
🐱
どうしたぁ?そんな焦って。
🦀
"ちょっと、いや、大分大変なことになった。"
🦀
"家からは出れたんだけど、
いやまぁ、ちょっと手短に!!"
🦀
"うっしーが取り憑かれた!!"
🐱
は!?
🦀
"ほんとにごめん、俺がいながら!"
🦀
"キヨく
🐱
レトさん!?レトさん!!!
そこで電話は切れた。
ツー、ツー、ツー、

カフェの入口の扉の隣で、
電話が切れた音をジッと聞いている。

そうだ。俺は、レトさんと
うっしーをガッチさんから逃がすってのを
作戦してたんだ。
忘れていた。本気だとは思わなかった。
冷や汗が輪郭を伝っていくのが分かる。
先程の話を聞いてからだと、
危機感がまた段違いだ。
🐱
ガッチさん!!
大声でドアを開けて叫ぶ。
店員さんは相当驚いた用で、皿がパリン、
とわれた音が何処かで聞こえた。

すいません、と心の中で謝りながら
🐱
お釣りは募金でもしといてください!!
レジに1000円札を2枚叩き付けたあと、
ガッチさんの手を強引に引っ張って連れていく。
🥷
え、ちょ、なになに
🐱
大変なことになった。
🥷
え?
🐱
うっしーが、霊に憑依されたって。
🥷
は!?なんでそんな事!?
家から出なければ安全だって!!
言うべきか?言うべきじゃないのか?
俺がレトさん側に立ってるとしても、
🐱
レトさんが、もしかしたら、
ガッチさんの事、うっしーに、
🐱
言ったかもしれない。
家まで走りながら、結局そう伝えた。
"かもしれない"はどこまで行っても"かもしれない"だ。

でも今は非常事態。

言わざるを得な____
🥷
は?
その瞬間、怒りの感情を俺は視覚で判断出来ることを知る。
肌で触れるのが痛い程のオーラが真隣から発せられている。

"俺じゃなかったら、このオーラだけで死んでいた。"

そう俺の感覚が判断するほど、
あのビルの時と同じような覇気。
俺は人の感情など表情では分からないため、
いつも声色で判断しているのだが、
音だけじゃない。こればっかりは分かる。透けて見える。
殺意のこもった怒りだ。

俺は恐怖を覚えた。単純に怖かった。
擬態をしていた時とは全く違う。
やはりこの男は人間ではないのだと再確認する。
詰めたはずの距離が離れていく。

寂しかった。...寂しかった?

俺は、実はこの男と仲良くなりたかったのかもしれない。
恨みがあるのは禍津日神だけだから。

俺は200年生きてる。
でもこんな奴を見たのは初めてで。
俺にはあまり友達って言えるやつがいないから、
きっとこいつなら分かってくれるかなって。
🐱
っつ...
🐱
まだ決まってない。
🥷
....
このオーラ量はまずい。
色んな人に被害が出る。
俺が少しでもくいとめなければ。
🐱
俺!!!
まだガッチさんの話聞いてねぇけど!!
必死だった。
🐱
ガッチさんはうっしー守りたいんでしょ!!
友達なんでしょ!?仲良いんでしょ!?
見てりゃ分かるよ羨ましい!!!
走りながら、呼吸も惜しいほどだった。
🐱
じゃあ早く行かねぇと!!!
でも、全部本心だった。
🐱
まだ決まってないし、俺は信じてる。
うっしーは多分、
霊か人間かで一括りにしないって!!
🐱
なぁ!!!ガッチさんもそうだろ!?
暫くは沈黙だった。
でも、俺は直ぐに気づく。

オーラ量が明らかに減っていくからだ。

怨霊らしいオーラではなく、
人間に擬態している時の量に戻っていく。
🥷
....そうだね。
🥷
さ、早く行こ。
🐱
言われなくてもっ!

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