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第1話

1,000
2024/02/15 05:07
死化粧  ───

故人の遺体が安らかで美しく眠っているように見えるよう、身だしなみを整えたり、化粧を施したりすること。
俺の兄は納棺師だった。
毎日何処か知らない場所で人が死んでゆくこの世界。

そしてこの悪者ヴィランがいる世界において

その職業は必要不可欠であった。

でもまぁ…そんな仕事したくない人ばかりで、

それでも納棺師をやり続けた兄さんの化粧が、

好きだった。
小柳ロウ
生きてるみたい…
あなた
まぁね…
小柳ロウ
…それ
あなた
…これ?紅?
小柳ロウ
…口紅…?
あなた
そうそう
あなた
ほら家の前に咲いてる花あるだろ…?
小柳ロウ
あぁ…
あなた
あれから色とったやつ
特にその紅が好きだった。

それを筆で取り優しく唇へ乗せていく。

それをしている兄さんが綺麗で綺麗で、

たまらなかった。
でも…






俺が紅を人に塗るなんて…






思ってもなかったな…

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