1人悶々としてる壱馬にいくら話しかけても眉間に皺を寄せて考え込んでいる。
よっぽど嫌だったのか……考えなきゃいけないことがあるのか
北人、樹、翔平、萩花さんが哀れんだ目で壱馬を見ているところを見ると、やっぱり相当なことだったんだ。
可哀想になってきたあたしは、ベッドの隣で考え込む壱馬の手をとった。
ほんとは胸がしてつけられた。
痛くてたまらなかった。
嫌だって叫びたかった。
だけど、そんなの言えない。
壱馬は俯いてた顔を目だけ上げて、あたしを見上げる。
なんとも悲しそうな顔に、あたしはドキッとした。
かっこいい壱馬へのトキメキだけじゃなく、''我慢してないか''って質問に、ギクリとしたからだ。
ずっと考え込んでたのはそれでだったんだ。
眉間に皺を寄せてたのは、嫌だって思ったからだったんだ。
悲しそうな顔をしたのは、
あたしの気持ちに気づいてるからなんだ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。