第88話

ともだち2(短)
155
2020/06/14 08:12
湯浅愛羅
湯浅愛羅
か、壱馬?
川村壱馬
川村壱馬
……
湯浅愛羅
湯浅愛羅
おーい、大丈夫…?
川村壱馬
川村壱馬
……
湯浅愛羅
湯浅愛羅
かずまー?
川村壱馬
川村壱馬
……
湯浅愛羅
湯浅愛羅
……


1人悶々としてる壱馬にいくら話しかけても眉間に皺を寄せて考え込んでいる。


よっぽど嫌だったのか……考えなきゃいけないことがあるのか


吉野北人
吉野北人
何かと戦ってるね、壱馬
川村壱馬
川村壱馬
……
藤原樹
藤原樹
誰か、水持ってきてやって
浦川翔平
浦川翔平
意外に精神的ダメージ受けてんの壱馬だよな
藤原樹
藤原樹
かなりな。相当必死だったんだな
藤井萩花
藤井萩花
ありえないよ。まじで


北人、樹、翔平、萩花さんが哀れんだ目で壱馬を見ているところを見ると、やっぱり相当なことだったんだ。


可哀想になってきたあたしは、ベッドの隣で考え込む壱馬の手をとった。



湯浅愛羅
湯浅愛羅
壱馬
川村壱馬
川村壱馬
……ん?
湯浅愛羅
湯浅愛羅
キスのことなら……
湯浅愛羅
湯浅愛羅
あたしを助けるためにしてくれたことだから……気にしないよ?


ほんとは胸がしてつけられた。


痛くてたまらなかった。


嫌だって叫びたかった。


だけど、そんなの言えない。



川村壱馬
川村壱馬
……
湯浅愛羅
湯浅愛羅
ね?  ……か
川村壱馬
川村壱馬
我慢してないか?
湯浅愛羅
湯浅愛羅
え?


壱馬は俯いてた顔を目だけ上げて、あたしを見上げる。


なんとも悲しそうな顔に、あたしはドキッとした。


かっこいい壱馬へのトキメキだけじゃなく、''我慢してないか''って質問に、ギクリとしたからだ。


川村壱馬
川村壱馬
想像してみた
川村壱馬
川村壱馬
もし逆の立場だったら、って
湯浅愛羅
湯浅愛羅
……
川村壱馬
川村壱馬
お前が、他の男に自分からキスするの見るなんて、死んでも嫌だ
湯浅愛羅
湯浅愛羅
……
川村壱馬
川村壱馬
どんな状況でも。相手が誰でも
湯浅愛羅
湯浅愛羅
……


ずっと考え込んでたのはそれでだったんだ。


眉間に皺を寄せてたのは、嫌だって思ったからだったんだ。


悲しそうな顔をしたのは、


川村壱馬
川村壱馬
……愛羅は違うのか?


あたしの気持ちに気づいてるからなんだ。







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