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第1話

wonwoo
655
2021/11/07 17:46










時計の針が規則正しく時を刻む音がする、真っ暗な部屋。






ベッドに横になり目を閉じれば、今日一日の記憶が瞼の裏を巡る。






全て、私が失敗した場面。






思い出して、鼓動が早まる。






足先から鎖が勢いよく絡み付き、縛り付けられるような感覚に陥って、目を開けた。






同時に目尻からこめかみにかけて流れていく生温い涙が気持ち悪い。







どうして、あの時、こうしなかったのかな。



どうして、あの時、ああ言えなかったのかな。







そんな考えが、どんどん積もっていく。









ヴーヴーヴー









枕元で突然震え出すスマホ。






驚いて声も出ない。






一気に思考の海から引き揚げられた感覚。






さっきとは別の意味で心臓の速度が早まって行くのを感じた。






今、何時?誰?






暗い部屋で煌々と光る液晶に目を細め、相手を確認すると、また涙が出そうだった。






wonwoo
wonwoo
《 お、出た 》






応答すると、嬉しそうな彼の声。




me
ウォヌ、





声を出せば震えた。







wonwoo
wonwoo
《 …どうした? 》






何かを察し、少し声のトーンを落として優しく問い掛けてくるから、また涙が伝う。







me
なんでもない
wonwoo
wonwoo
《 嘘、バレてる 》
me
…っ、






完璧主義者、それは、少し自分を苦しめる性格だと思う。






私がそうだから。






失敗した自分が許せない、愛せない。






時にそれを人はストイックという褒め言葉として言うかもしれない。






“ 完璧な人間なんていない、失敗して人は学ぶ ”






そう、頭では理解していても、自分を責めてしまう性格はなかなか治らない。







wonwoo
wonwoo
《 どうしたの 》
me
…仕事で、失敗した
me
全部ダメ。仕事全然できない。
もう自分嫌い。
wonwoo
wonwoo
《 はぁ、 》






溜息をひとつ吐き出すウォヌ。





嗚呼、呆れられたかな。





me
ごめん、ネガティブ
wonwoo
wonwoo
《 全く、俺の好きな人の悪口
言わないで欲しいんだけど? 》







顔は見えないけど、ふっと口角を上げて眉尻を下げながら少しだけ困ったように微笑む彼の顔が浮かんだ。






wonwoo
wonwoo
《 あなたが頑張ってること、
俺はよく知ってるよ 》







ボロボロと流れ出る涙をそのままに、額に腕を乗せて下唇を噛んだ。








wonwoo
wonwoo
《 あなたが自分を好きになれないなら
俺が沢山、愛してあげる 》
wonwoo
wonwoo
《 毎日お疲れ様 》















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