それからしばらく沈黙が続いていた
私のナイフに興味を持ったのか
カルマはずっとこちらを見つめたままだった
未成年はナイフを買えない
法律で禁止されてるわけではないが
店舗が自主的に禁止にしている
一応、「正当な理由なく携帯すること」
は法律で禁止と定められてはいるけど
だからこそ、自作って気づいたカルマは
きっと頭が良いのだろう
あまりにあっさりした回答に
カルマは笑う
あなたの指先で回るナイフの刃が
月明かりを受けて光る
私はそう答えたあと、指先で回していたナイフを投げた
ーーヒュッ
風を裂く、ほとんど音にならない音
視線も体勢も変えないまま
私の指から放たれたナイフは
一直線に、向かいの木へ
トン、と
鈍く乾いた音
ナイフは幹に深く突き刺さっていた
ブレもなく、傾きもなく
私は投げたナイフを一瞥して
少し含みのある声で言った
その声には、さっきまでとは違う色が混ざっていた
興味だけじゃない
少しだけ、本能的な警戒
それでもカルマの口元は楽しそうに歪む
あなたは立ち上がって
向かいの木に歩いていき
刺さったナイフを軽く引き抜いた
多分、「使ったこと」
これは「人に」って意味も含まれてると思う
きっと、彼もまた私と同じ不良なんだろう
頭が良くて素行不良
そのまま私は戻りながら
また指で回し始める
くるり、と
私はほんの少しだけ
カルマに興味が湧いたのだろう
なるほど、煽りスキル星5ですか
きっと彼は私の何かを変えてくれる気がする











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。