思いっきり体を突き放した時
足元にあったバケツを蹴ってしまった
――ガシャ
鈍い金属音がコンクリートを鳴らした、その時
遠くから懐中電灯が私たちに向けられている
荷物をかき集めて必死に走る
後ろから追いかけてくる警備員さんは
想像以上に速い
手を引かれて、全速力のジョンウォン君に着いていく
でも..脇腹が痛くてもうこれ以上走れそうにない
先を行ったジョンウォン君の背中が闇の中に消えて
私は茂みに隠れて呼吸をなんとか整える
「「 警備員さーんこっち ! 」」
ジョンウォン君が進んだのとは反対側から男子生徒の大声が聞こえてきた
警備員さんの懐中電灯がパッとそちらを向く
目を凝らすと、その人は小さなライトを
おびき寄せるように振っている。
...ジョンウォン君大丈夫かな
でも進んだ方と真逆からどうやってあっちまで行ったんだろ..
そんな疑問を抱きながらも
ぐっと唇をかみしめて、なるべく冷静に門の外に出た
どうしようジョンウォン君捕まってないよね..?
不安で門の影に隠れながらジョンウォン君を待っていると
――ガシャン
暗くて顔が全く見えないけど
絶対にジョンウォン君...
そこには額に汗をかいて息を上がらせた温斗君がいた
張り詰めていた不安が一気に涙に変わった
困ったときに現れる温斗君はやっぱりヒーローだ















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!