前の話
一覧へ
次の話

第1話

すぐ死ぬ言う
1,027
2025/05/04 23:13 更新
夜は嫌いだ……


闇は簡単に私を飲み込んで

私の内側を真っ黒にさせるから……









夕陽の名残がほとんど消え夜が来ようとする空から、重く乾いた羽音が聞こえた


シャンクス
あなた!早くこっちに降りてこいよ!
メシにしよう!
彼女を受け止める準備はできていると言わんばかりに
シャンクスは甲板で右手を広げて
空を飛ぶあなたに笑みを浮かべ言った


獅子獅子の実(グリフォン)を食べた彼女は
上半身の顔は人、ワシの両手と翼、下半身はライオンの状態で空を飛んでいた

シャンクスの声に彼女の視線が向けられ
シャンクスは おいで!と更に両手を広げた
あなた
飯なら食うぞ!よこせルー!

その肉っ!
急降下して降りてきた彼女はシャンクスを通り過ぎると完全に人の姿になってラッキー・ルー目掛けて掴みかかった
ルーが何口か食べた痕跡のある肉の塊を奪うと構わずかぶりついた
ルーはいつもの事だと言わんばかりに別の肉を取り出しに厨房へ向かった
あなた
お腹が空くと死ぬぞ?
早くシャンクスも食べるといい!
彼女はいつも笑顔だった、それが普段の表情として定着しているのだと思う
その笑い顔には幼女のような無垢のものが感じられて、見ているこちらもつられて笑みを浮かべたくなるような
そんな幸福感を与えてくれた…

しかしせっかく広げた右手は未だ空っぽのままで、隣のベン・ベックマンが呆れたように顔を横に振ってシャンクスの右手をそっと掴んで下ろした
ベン
頭…残念だったな
シャンクス
…あなた!久しぶりだな!
その様子じゃまだ見つかってないんだな?
命の恩人は
シャンクスはベンの顔を見て何か言いたげにしたが、多分何を言っても自分が惨めになると思い下唇を噛んで堪えた
その次の瞬間にはパァっと笑みを貼り付けてあなたへと駆け寄って行く


ここ数年、シャンクスはあなたがこの船に訪れるのが楽しみで仕方がないようだ

確かに彼女は愛嬌があり、可愛くて…彼女を嫌う人など居ないだろうきっと
シャンクスの言うように仲間になってくれたら毎日が楽しいものになるに違いないだろう

しかし、彼女にはどうしても会いたい別の海賊団が居た
あなた
スペード海賊団はもういないって、ソレばっかりだ
聞き飽きて死にそうだ
シャンクス
まぁそう気を落とすな、探せばそのうち見つかるだろ
スペード海賊団は既に無くなり、船長だった火拳のエースは白ひげ海賊団の一員だ……

その事実を知りながらも、赤髪海賊団全員はソレをあなたに教えなかった


教えたくないのだ、エースを見つければ彼女はレッドフォース号へ来なくなってしまう
きっと白ひげの仲間になるだろう…


出来ればずっと見つからないで欲しい
シャンクスはつきなれた嘘に動揺することなく笑みを浮かべ彼女を労った

彼女の翼は艶やかで強く美しい…



しかし彼女はいつも言うのだ



あなた
早く見つけないと…

『私が死んでしまうぞ』
シャンクス
死なないさ
あなた
いいや!死ぬ!胸が…
今だってチクチクチクチクしてるんだ!
それが恋という病という事も


絶対に教える気は無い。

プリ小説オーディオドラマ