大森くんが連れてきてくれたのは、神社の裏にある小さな公園。
時間帯のこともあるからか人気もなく、唯一聞こえる音は虫の鳴き声ぐらい。
ど真ん中にプリンみたいな形をした遊具があって、周りにブランコとかジャングルジムとか、
久しぶりに見る、ちゃんとした“公園”だった。
…本当に何年ぶりだろ。
中学生になってから一切公園に遊びに行かなくなった気がする。
元々体力はあまりないし、ずっとアウトドアよりインドア派だったから…
初めて来る場所なのに、なんかちょっと懐かしく感じた。
大森くんは暗闇の中でもわかるぐらい目を輝かせながらプリンの遊具の階段を上る。
よく見ると、上にはちょうど二人分座れるようなスペースがある。
浴衣の丈がが引っかからないようにゆっくり階段を上る。
頂上に着くと、端っこに寄って私がしっかり座るまで優しく見守ってくれる大森くん。
手は私に触れない程度に、
もし私が踏み外したりしても支えられるぐらいの距離で構えてて、
そんな気遣いをさらっとできちゃうから女子はみんな大森くんに惚れるんだよ…と座りながら考える。
私含む全女子。
だってこんな優しくされて好きにならないわけがないもん。
でもそんだけモテてるのに、今夜一緒に花火を見れる私は何か特別なのかな…と思っちゃう。
…それかめちゃくちゃ運が良いだけなのか。
…肩が触れそうで触れないぐらいの距離だから余計意識しちゃう、!
気を紛らわすために何か話題を…
笑った時のえくぼが可愛くてつい目が離せなくなる。
「信用できる」って…
勘違いして良いやつなの?
どんどんわからなくなってくる。
沈黙が少しの間続いて、大森くんが何か言いかけた途端。
ドーン
パーン
今夜一発目の花火が上がった。
多いと言えるほど花火をいっぱい見てきたわけでもないけど、今までの中で一番綺麗な花火かもしれない。
公園からだと見晴らしも良く、今日は一日中快晴だったため、視界を遮るものもないからなのか。
それか、花火に照らされる横顔があまりにも綺麗な、
隣にいる私の好きな人のおかげなのか。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。