らいと視点
あれから数日が経ち頭を撫でるだけを繰り返すうちに、ロゼは俺が腿を叩いて呼ぶと、大きな抵抗もなく膝の上に座るようになった
最初の夜のような強張りは薄れ、俺の胸に背中を預ける時間も長くなった
撫でられることへの羞恥は残っているものの、体は少しずつ、この位置を受け入れ始めとった
今夜は、そのひとつ先へ進めることに
風呂から上がったロゼを、俺は寝室のベッドの縁に座らせた
いつもならそのまま膝に乗せて髪を撫でる時間
やけど、俺はロゼの正面に立ち用意しておいた白い大きなTシャツを手に取った
俺の部屋着で、ロゼには明らかに大きすぎるサイズ
広げると、ロゼの上半身がすっぽり沈みそうなほどゆったりしている
ロゼの視線がTシャツに吸い寄せられ眉が寄った
ロゼの頰がすぐに赤くなった
意味は分かっている目だった
頭を撫でるだけの延長ちゃうくて赤ちゃんみたいな格好をもう一段階はっきりさせる行為だと理解しとる
それでも、すぐに「嫌」とは言わず唇を噛んで、視線を泳がせたまま、小さな声で返した
ロゼの部屋着の裾に手をかけると肩をすくめたが本気で払う力は入れとらん
ボタンを一つずつ外していくと、鎖骨から胸のあたりまでが徐々に露わになる
肩から生地を滑らせて上半身を裸にしたとき、ロゼは両腕で胸を隠すようにしたけんその腕を、優しく外側へ開いた
ロゼが恥ずかしそうに顔を背けたままゆっくりと両腕を上げた
俺は大きなTシャツを頭から被せた
白い生地が顔を覆い、一瞬だけ視界が消えたそのすきに袖へ腕を通し、肩に生地を落とした
明らかにサイズが合っていない
袖は手首まで完全に隠れ、裾は太もも半ばまで垂れ下がる
下着の上から着ているだけなのに、ロゼの体つきが子供のように小さく見えた
袖の中で、指先が生地を探るように動いている
ロゼは自分の袖をちらりと見て、耳まで真っ赤にした
袖口から指がほとんど見えないため裾を摘まんで、長さを確かめる。
俺はロゼの脇に手を入れて、抱き上げるように自分の膝の上へ座らせた
大きなTシャツの裾が、俺の腿の上に広がり布越しに、ロゼの体温が直接伝わってくる
下着一枚と、この大きいTシャツだけ
普段の部屋着より、距離が近い
ロゼは背中を俺の胸に預けて、小さく息を詰めた
いつもの位置なのに、今夜は感触が違う
俺はロゼの頭に手を置き、ゆっくりと髪を撫で始めた
風呂上がりの髪は柔らかく、指を通すたびに甘い匂いがする
もう一方の手で、円を描くように、ゆっくりとTシャツの上から腹を優しくさすると、ロゼの呼吸が浅くなっていくのが分かった。
俺はロゼの髪を梳きながら、耳の後ろを指の腹でくすぐるとロゼの体が、微かに震えた
嫌がっているというより、慣れない刺激に反応している感じだった
Tシャツの袖の中で、指が小さく動いている
隠れた手が、何かを掴もうとしては、生地の中で空を切る
ロゼは何も返さずただ、俺の胸に額を寄せて、目を細めているだけ
耳は真っ赤なままなのに、体の力は少しずつ抜けていく
抵抗するでもなく、積極的に甘えるでもない
ただ、されるがままに、俺の膝の上で静かに呼吸を続けとるだけ
Tシャツの裾が、ロゼの太ももに沿って落ちている姿が、たまらなく愛おしかった
その言葉に、ロゼの体がまた微かに震えた
否定しない。かといって、素直に受け入れた顔でもない
ただ、撫でられるままに、熱い耳を俺の胸に隠しとる
俺が腹をさする手を止めずに続けていると、ロゼの呼吸が徐々に深くなっていった
そして最初の強張りが、ゆっくりと溶けていく
ロゼはすぐに「嫌」とは言ってこなかった
しばらく沈黙してから、ごく小さな声で返した
俺はロゼの髪に鼻を埋め、甘い匂いを深く吸い込んだ
大きいTシャツ一枚で、俺の膝の上に収まっているロゼ
まだオムツは出とらんしミルクも出とらん
ただ、服を一枚変えただけ
それでも、ロゼの恥ずかしさと預けてくる体の重さが確実に前の段階より深くなっている
ロゼは答えず、ただ俺の胸に顔を寄せた
Tシャツの中で、体温がゆっくりと沈んでいく感触を、しっかりと刻み込んでいた
頭を撫でるだけから、大きなTシャツ一枚で抱く段階へ
慣れた頃に、次を出せばいい
俺はロゼの柔らかな髪を、丁寧に、そして執拗に撫で続けた












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。